出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
兵庫県での地震と言えば、1995年に起こった兵庫県南部地震(阪神淡路大震災・マグニチュード7.3)。
関西で犠牲者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名という甚大な被害を出し、震度階級が現在と同じものになってから初めての震度7を観測した歴史的災害となってしまいました。
近年では、お隣の大阪で2018年に大阪府北部地震(マグニチュード6.1)発生し、負傷者42名の被害を受けています。
一方、南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされ、兵庫県でも影響を受けることが懸念されます。
兵庫県に影響する海溝や活断層の地震にはどんなものがあり、その発生確率はどの程度なのか把握しておきましょう。
地震の種類
出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html
地震には、大きく分けて「プレート間地震」「プレート境界地震」と呼ばれるものとプレート内で起こるもので「プレート内地震」に分けられます。
そしてさらに細かく分類されているんですよね。
収束型
・海溝型地震
・衝突型境界地震
発散型
すれ違い型
大陸プレート内地震(内陸地殻内地震・断層型地震)
・逆断層
・正断層
・横ずれ断層
海洋プレート内地震
・スラブ内地震
・アウターライズ地震
兵庫県の海溝型地震(30年以内の発生確率)
出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
兵庫県に被害をもたらす可能性のある海溝型地震は、南海トラフによる巨大地震です。
兵庫県は、南海トラフ巨大地震で大きな被害を受ける可能性のある「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。
淡路島はさらに津波の被害を受けるとされ「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されているんです。
淀川河口周辺、瀬戸内海沿岸部の低地、豊岡や丹波の盆地部などは、地盤がやや軟弱であるため周囲の地域よりも揺れが強くなることが懸念されています。
国の予測では、マグニチュード8~9の南海トラフ巨大地震が70~80%の確率で発生すると予測しています。
30年以内という表現は、どこか現実味を感じさせないものとなっていますが、決して楽観視してはいけません。
というのも、東日本大震災前の太平洋沖での発生確率はかなり高いものとなっていたからなんですよね。
地震 | マグニチュード | 発生確率 (30年以内) |
||
---|---|---|---|---|
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8~9クラス | 70~80% |
※2020年1月1日算出
出典:地震本部 兵庫県の地震活動の特徴
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kinki/p28_hyogo/
兵庫県の活断層地震(30年以内の発生確率)
出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
兵庫県の陸地で起きる可能性がある地震は、主に浅い場所で起きるとされています。
活断層による大地震の発生確率はいずれも低くなっていますが、油断してはいけません。
今までに存在が知られていない活断層もあると考えられ、突然断層にズレが生じて大地震になることもあります。
隣接する府県で発生する地震の影響も受けますし、広範囲にわたって情報をチェックしておくようにしましょう。
地震 | マグニチュード | 発生確率 (30年以内) |
|
---|---|---|---|
①木津川断層帯 | 7.3程度 | ほぼ0% | |
②琵琶湖西岸断層帯 | 北部 | 7.1程度 | 1~3% |
南部 | 7.5程度 | ほぼ0% | |
③三方・花折断層帯 | 三方断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0% |
花折断層帯(北部) | 7.2程度 | 不明 | |
花折断層帯(中南部) | 7.3程度 | ほぼ0~0.6% | |
④三峠・京都西山断層帯 | 上林川断層 | 7.2程度 | 不明 |
三峠断層 | 7.2程度 | 0.4~0.6% | |
京都西山断層帯 | 7.5程度 | ほぼ0~0.8% | |
⑤山田断層帯 | 主部 | 7.4程度 | 不明 |
郷村断層帯 | 7.4程度もしくはそれ以上 | ほぼ0% | |
⑥京都盆地-奈良盆地断層帯南部 (奈良盆地東縁断層帯) |
7.4程度 | ほぼ0~5% | |
⑦生駒断層帯 | 7.0~7.5程度 | ほぼ0~0.2% | |
⑧有馬-高槻断層帯 | 7.5程度(±0.5) | ほぼ0~0.04% | |
⑨上町断層帯 | 7.5程度 | 2~3% | |
⑩大阪湾断層帯 | 7.5程度 | 0.004%以下 | |
⑪六甲・淡路島断層帯 | 主部(六甲山地南縁~淡路島東岸区間) | 7.9程度 | ほぼ0~1% |
主部(淡路島西岸区間) | 7.1程度 | ほぼ0% | |
先山断層帯 | 6.6程度 | ほぼ0% | |
⑫山崎断層帯 | 那岐山断層帯 | 7.3程度 | 0.06~0.1% |
主部(北西部) | 7.7程度 | 0.09~1% | |
主部(南東部) | 7.3程度 | ほぼ0~0.01% | |
草谷断層 | 6.7程度 | ほぼ0% | |
⑬中央構造線断層帯 | 金剛山地東縁区間 | 6.8程度 | ほぼ0% |
五条谷区間 | 7.3程度 | 不明 | |
根来区間 | 7.2程度 | 0.008~0.3% | |
紀淡海峡~鳴門海峡区間 | 7.5程度 | 0.005~1% | |
讃岐山脈南縁東部区間 | 7.7程度 | 1%以下 | |
讃岐山脈南縁西部区間 | 8.0程度もしくはそれ以上 | ほぼ0~0.4% | |
石鎚山脈北縁区間 | 7.3程度 | 0.01%以下 | |
石鎚山脈北縁西部区間 | 7.5程度 | ほぼ0~12% | |
伊予灘区間 | 8.0程度もしくはそれ以上 | ほぼ0% | |
豊予海峡~湯布院区間 | 7.8程度 | ほぼ0% |
※2020年1月1日算出
出典:地震本部 兵庫県の地震活動の特徴
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kinki/p28_hyogo/
地震・断層の活動サイクル
南海トラフ
最後の地震活動
東海・東南海:1944年12月7日(昭和東南海地震)
南海:1946年12月21日(昭和南海地震)
地震の間隔:88.2年
①木津川断層帯
最後の地震活動:1854年7月9日(伊賀上野地震)
地震の間隔:約4,000年~25,000年
②琵琶湖西岸断層帯
北部
最後の地震活動:約2,800~2,400年前
地震の間隔:約1,000年~2,800年
南部
最後の地震活動:1185年8月13日(文治地震)
地震の間隔:約4,500年~6,000年
③三方・花折断層帯
三方断層帯
最後の地震活動:1622年6月16日(寛文近江・若狭地震)
地震の間隔:約3,800年~6,300年
花折断層帯(北部)
最後の地震活動:1622年6月16日(寛文近江・若狭地震)
地震の間隔:不明
花折断層帯(中南部)
最後の地震活動:2,800年前~6世紀
地震の間隔:4,200年~6,500年
④三峠・京都西山断層帯
上林川断層
最後の地震活動:不明
地震の間隔:不明
三峠断層
最後の地震活動:3世紀以前
地震の間隔:5,000年~7,000年程度
京都西山断層帯
最後の地震活動:約2,400年前~2世紀
地震の間隔:3,500年~5,600年
⑤山田断層帯
主部
最後の地震活動:約3,300年前以前
地震の間隔:不明
郷村断層帯
最後の地震活動:1927年3月7日(北丹後地震)
地震の間隔:約10,000年~15,000年
⑥京都盆地-奈良盆地断層帯南部(奈良盆地東縁断層帯)
最後の地震活動:約11,000年前~1,200年前
地震の間隔:約5,000年
⑦生駒断層帯
最後の地震活動:1,600年前~1,000年前頃
地震の間隔:3,000年〜6,000年
⑧有馬-高槻断層帯
最後の地震活動:1596年9月5日(慶長伏見地震)
地震の間隔:1,000年~2,000年程度
⑨上町断層帯
最後の地震活動:約28,000年前~9,000年前
地震の間隔:8,000年程度
⑩大阪湾断層帯
最後の地震活動:9世紀以後
地震の間隔:約3,000年~7,000年程度
⑪六甲・淡路島断層帯
主部(六甲山地南縁~淡路島東岸区間)
最後の地震活動:16世紀
地震の間隔:900年~2,800年程度
主部(淡路島西岸区間)
最後の地震活動:1995年1月17日(兵庫県南部地震・阪神淡路大震災)
地震の間隔:1,800年~2,500年程度
先山断層帯
最後の地震活動:11世紀~17世紀初頭
地震の間隔:5,000年~10,000年程度
⑫山崎断層帯
那岐山断層帯
最後の地震活動:不明
地震の間隔:24,000年~53,000年程度
主部(北西部)
最後の地震活動:868年8月3日(播磨国地震)
地震の間隔:約1,800年~2,300年
主部(南東部)
最後の地震活動:4世紀~6世紀
地震の間隔:3,900年程度
草谷断層
最後の地震活動:4世紀~12世紀
地震の間隔:6,500年程度
⑬中央構造線断層帯
金剛山地東縁区間
最後の地震活動:1世紀以後、3世紀以前
地震の間隔:約6,000年~7,600年
五条谷区間
最後の地震活動:約2,200年前以後、7世紀以前
地震の間隔:不明
根来区間
最後の地震活動:7世紀以後、8世紀以前
地震の間隔:約2,500年~2,900年
紀淡海峡~鳴門海峡区間
最後の地震活動:約3,100年前以後、2,600年前以前
地震の間隔:約4,000年~6,000年
讃岐山脈南縁東部区間
最後の地震活動:16世紀以後
地震の間隔:約900年~1,200年
讃岐山脈南縁西部区間
最後の地震活動:16紀以後、17世紀以前
地震の間隔:約1,000年~1,500年
石鎚山脈北縁区間
最後の地震活動:15世紀以後
地震の間隔:約1,500年~1,800年
石鎚山脈北縁西部区間
最後の地震活動:15世紀以後、18世紀以前
地震の間隔:約700年~1,300年
伊予灘区間
最後の地震活動:17世紀以後、19世紀以前
地震の間隔:約2,900年~3,300年
豊予海峡~湯布院区間
最後の地震活動:17世紀頃
地震の間隔:約1,600年~1,700年
兵庫県の過去の主な地震
太平洋
684年:土佐その他南海・東海・西海地方 マグニチュード8 1/4
887年:五畿・七道 マグニチュード8.0~8.5
1096年:畿内・東海道 マグニチュード8.0~8.5
1099年:南海道・畿内 マグニチュード8.0~8.3
1361年:畿内・土佐・阿波 マグニチュード8 1/4~8.5
1498年:東海道全般 マグニチュード8.2~8.4
1605年:慶長地震 マグニチュード7.9
1707年:宝永地震 マグニチュード8.6
1854年:安政東海地震 マグニチュード8.4
1854年:安政南海地震 マグニチュード8.4
1944年:東南海地震 マグニチュード7.9
1946年:南海地震 マグニチュード8.0
1983年:日本海中部地震(日本海・マグニチュード7.7)
2004年:紀伊半島南東沖 マグニチュード7.4
南海トラフによって引き起こされた巨大地震は過去に何度も起きています。
1707年10月28日の宝永地震(マグニチュード8.6)では、49日後に富士山が大噴火を起こしています。
兵庫では、犠牲者の記録はないものの25棟の家屋が全壊し、大阪では約750名の犠牲者を出しているんです。
南海トラフは東海エリアや東南海エリアと、南海エリアが別々に連動して起こることが多く、1854年12月23日には安政東海地震(マグニチュード8.4)が起き、翌24日には安政南海地震(マグニチュード8.4)が発生しています。
1944年には東南海地震(マグニチュード7.9)が起き、兵庫では犠牲者2名、住家全壊3棟の被害が生じています。
その2年後の1946年には南海地震(マグニチュード8.0)が発生し、兵庫県での被害は犠牲者50名、負傷者91名、住家全壊330棟となっています。
予言めいた噂も多い南海トラフ巨大地震ですが、切迫しているとも言われていますので警戒しておくに越したことはありませんね。
また、2004年の紀伊半島南東沖の地震(マグニチュード7.4)では、負傷者を1名出していますので、離れた地域での地震にも注意しておくようにしましょう。
秋田県の能代沖で1983年に発生した日本海中部地震(マグニチュード7.7)では、津波が到達したこともあるため、遠く離れた場所での地震にも注意しておきたいところです。
陸域の地震
868年:播磨・山城 マグニチュード7.1
1596年:慶長伏見地震 マグニチュード7 1/2±1/4
1662年:山城・大和・河内・和泉・摂津・丹後・若狭・近江・美濃・伊勢・駿河・三河・信濃 マグニチュード7 1/4~7.6
1830年:京都および隣国 マグニチュード6.5
1865年:播磨・丹波 マグニチュード6 1/4
1916年:神戸 マグニチュード6.1
1925年:北但馬地震 マグニチュード6.8
1927年:北丹後地震 マグニチュード7.3
1952年:吉野地震 マグニチュード6.7
1995年:兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)マグニチュード7.3
2000年:鳥取県西部地震 マグニチュード7.3
2013年:淡路島付近 マグニチュード6.3
2018年:大阪府北部地震 マグニチュード6.1
兵庫県の陸地で起こった地震は、古くは868年に播磨・山城の地震(マグニチュード7.1)があり、播磨諸郡で家屋の多くが全壊となりました。
1596年の慶長伏見地震(マグニチュード7 1/2±1/4)は、有馬−高槻断層帯で起きたとされ神戸、有馬、兵庫で家屋の全壊は多数に。
1925年の北但馬地震(マグニチュード6.8)では、豊岡市城崎で火災が発生し421名もの方が命を落としています。
1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災・マグニチュード7.3)は、六甲・淡路島断層帯の一部で起こったとされ、神戸や宝塚で震度7を観測。
関西では、6,434名もの犠牲者を出し、行方不明者3名、負傷者43,792名、住家全壊104,906棟となり、火災も数多く発生しています。
2018年の大阪府北部地震(マグニチュード6.1)では、兵庫県内で負傷者42名、住家全壊1棟、半壊2棟の被害が起きています。
まとめ
兵庫県では、陸地の浅い場所での地震や、日本海側の南海トラフによる巨大地震に警戒しておく必要があります。
南海トラフ巨大地震
マグニチュード:8~9クラス
30年以内の発生確率:70~80%
秋田県の能代沖で発生した1983年の日本海中部地震(マグニチュード7.7)のように、遠く離れた場所であっても津波が到達したこともあります。
いざという時に逃げ遅れたり避難生活が困難になったりしないように、普段から防災グッズ、備蓄、被災時の行動、避難場所の確認、家族での話し合いなど、しっかりと備えておくようにしましょう。
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