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環境汚染問題の一つである酸性雨ですが、普段から雨に当たっても平気なのか不安になりませんか?
近年は、あまり問題提起されていないような気もするので、酸性雨のこと自体知らない世代も増えてきているかもしれませんね。
そもそもに酸性雨の原因や影響とは何なのか?
酸性雨を浴びるとハゲるという噂も浸透していますが、実際のところどうなのでしょうか。
大気汚染・酸性雨とは
出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/acid/info_acid.html
酸性雨の定義としては、水素イオン指数(pH・ペーハー)が5.6より低い数値の雨のことを意味しています。
pHは0~14で示されることが多く、7付近は中性、7以下が酸性、7以上がアルカリ性となります。
とはいえ、もともと雨は酸性であり、日本で観測される雨はpH4.8くらいが平均的となっています。
出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/acid/change_acid.html#station
雨が中性にならないのは、雨には水だけでなく大気中の二酸化炭素や火山による硫黄酸化物なども含まれているから。
pH5くらいが通常の雨とする見方もあり、火山やアルカリ壌土などの周辺環境によって変わってくる。
雨・雪・霧などに溶け込んで降ってくるものを「湿性降下物」といい、雨以外の粉塵(ふんじん)やガス状の物質などを「乾性降下物」、これらを合わせて「酸性降下物」と呼んでいます。
pHだけを基準にするのではなく、人為的な影響が加わる前と比較したときに、酸性になる現象のことを酸性雨としています。
酸性雨のメカニズム・原因
酸性雨は、化石燃料を燃焼させたときや、火山活動などで発生する二酸化硫黄や窒素化合物によって起こります。
大気中で硫酸や硝酸に変化し、雨に溶け込みます。
大気で原因となる物質となり溶け込んでも、酸性雨が降ってくるのは国境を越える場合もあり、自国だけの問題ではないのです。
日本で観測される硫黄酸化物(二酸化硫黄を含む)の49パーセントは中国からとされているんです。
また、アンモニアは大気の水と反応し塩基性となりますが、酸性雨によって土壌で硝酸塩に変化するため酸性雨の原因の一つとも言われています。
世界的に見ると、酸性雨が最初に確認されたのが19世紀のイギリス。
当時のイギリスは産業革命のピーク時で、石炭やコークス、排気ガスなどにより酸性化したと言われています。
1950年頃には、スウェーデンやノルウェーなどの北欧でもpH4~5の雨が確認されていますが、汚染源は北欧ではなくヨーロッパの中部から汚染物質が運ばれたためだったのです。
1980年代になっても東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキアなどが石炭を使い続け、針葉樹林を広範囲にわたって壊滅させてしまった。
中国でも石炭の使用量が多く、工業地帯では大気汚染が広がりマスクなしでは街を歩けないほどになることも。
酸性雨の影響
酸性雨の影響としては、樹が枯れたり銅像が溶け出したりといったものが有名ですが、他にはどんなことがあるのでしょうか。
・土壌の酸性か→植物の生育への影響
・植物へ有害なアルミニウムイオン、重金属イオンが溶け出す
・河川に流れ出ると水系動物へ影響
・植物を枯れさせる→森林減少
・銅像を溶かす
・鉄筋コンクリートや橋などの腐食
など
酸性雨の対策とは?
出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/acid/info_acid.html
世界では、酸性雨の動向を観測する地点が約200あり、日本にもいくつかの観測点があります。
・東京都小笠原村・南鳥島
・沖縄県八重山郡与那国町・与那国島
酸性雨に影響をもたらす物質を生み出している大元の原因と、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出するメカニズムはほとんど同じもの。
つまり、温室効果ガスの削減となる取り組みが、酸性雨を抑えることにもつながってきます。
・石油・石炭から温室効果ガスの排出量の少ない燃料への転換
・製鉄での低排出化
・再生可能エネルギー
・自動車(燃料電池、電気自動車、水素、バイオエタノール)
・住宅・自動車・船舶の太陽電池の搭載
・廃棄物発電
・エネルギー源の効率改善
パリ協定での日本の目標は以下のとおり。
・温室効果ガスを26%削減(2013年と比較)
・温室効果ガスを25.4%削減(2005年と比較)
2020年7月からはレジ袋の有料化もスタートしますが、日本は先進国としてもっと高い水準の目標に変更してほしいと苦言を呈されている状態なんですよね。
つまり、もっと意識を高くもってよりよい対策をしてね!ということなのでしょう。
日本はあまり積極的ではないような印象なのでかたくなに変えないと思いますが・・・。
酸性雨でハゲるって本当?
さて、昔から言われている噂に「酸性雨を浴びるとハゲる」というものがあります。
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
だからといって、雨を浴びて大騒ぎしている人を見たことはありませんよね。
実際のところどうなんでしょうかね!?
AGAヘアクリニック院長の水島豪太氏によると
結論からいうと、酸性雨の影響で薄毛になることはありません。強い酸性の液体はたんぱく質を溶かす性質があるためそのように噂されていると推測されますが、今の日本で髪を溶かすほどの強い酸性雨が降ることはないといわれています。しかし頭皮が雨に濡れること自体は、実は少なからず育毛への影響はあるといえます。
出典:AGAヘアクリニック 一部抜粋
とのことです。
また、温泉に入ったら薄毛になるということも聞いたことがないとし、雨が影響を及ぼしているのはきちんと乾かさずに濡れたままにしているからだという。
たしかに、温泉でハゲたら大惨事ですものね・・・。
まとめ
酸性雨は、中国など他の国からやってくる可能性もあり、発生源を日本だけ注意しておけば良いというものではありません。
世界で共通の意識を持って対策していくことが大切で、温室効果ガスとも関連しているものとなっています。
酸性雨でハゲるという噂については、どうやら噂止まりのようですが、しっかりと乾燥させることが重要なようですね。