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異常な気候をもたらす原因の一つとしてよく耳にする「エルニーニョ現象」「ラニーニャ現象」。
聞いたことはあってもいったいどんな現象なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
日本でも気象災害が多くなってきていることもあり、理解しておくべき大切な現象と言えるかもしれません。
ここでは、改めてエルニーニョ現象、ラニーニャ現象についてお伝えしていきます。
エルニーニョ現象とは?
出典:気象庁
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
エルニーニョはスペイン語で「イエス・キリスト」を意味し、中部・東部太平洋の赤道付近の海水温が1年以上にわたって上昇する現象のこと。
通常、太平洋では東風(貿易風)が吹き、赤道付近の温められた海水が太平洋の西側に寄せられます。
代わりに東側に冷たい海水が流れ、太平洋の海水は西高東低の状態になります。
しかし、エルニーニョが発生すると東風が弱まってしまい、温かい海水が東側に戻り海水の温度が上昇するのです。
エルニーニョが発生すると、通常よりも1~2度ほど海水温が上がり、1997年~1998年にかけて起こったエルニーニョ現象は3.6度も上昇しています。
エルニーニョ現象によって西側の海水温が低くなると、日本付近の太平洋高気圧が弱まり気圧が低くなって、気温が低く雨が多い夏になるのです。
逆に冬は、寒気が入りにくくなり全体的に暖かく、日本海側で晴れが多く太平洋側で曇りや雨・雪が多くなります。
ラニーニャ現象とは?
出典:気象庁
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
ラニーニャはスペイン語で「女の子」を意味し、太平洋の赤道付近の東側で海水温が低下する現象のこと。
エルニーニョとは逆の現象であるため、もたらされる異常気象も反対になることが多くなっています。
エルニーニョ現象が発生した時にはアマゾンで大雨になりやすく、ラニーニャ現象が発生すると雨は少なくなり干ばつが起きてしまいます。
特に太平洋の赤道付近で起こりやすく、他の地域では必ずしも起こるというわけではありません。
エルニーニョ/ラニーニャ現象の原因とは?
出典:気象庁
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象が起こる原因は、まだはっきりとしたものは解明されていません。
しかし、発生する数ヶ月前に東から西に流れる海流が弱くなったり反転したりすることが分かっています。
この原因も「何らかの影響」としか分かっていませんが、反転した後にフィリピン付近では西風が弱まることも観測されています。
また、月による潮汐力の変化が影響しているという説もありますが、確定には至っていません。
地球温暖化と関連があると認識している人が多いかと思いますが、実はまだ推論のレベルまでとなっているんですよね。
地球温暖化によってエルニーニョ現象が「強まる・増えるだろう」が現状で「強まる・増える」と断定はできないのです。
エルニーニョ/ラニーニャ現象はインド洋にも影響?
出典:気象庁
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino2.html
インド洋では通常、弱い西風が吹いていて、暖かい海水が東部に位置しています。
しかし、エルニーニョ現象が起こるとインド洋には東風が吹き、温かい海水は西側や熱帯域に広がっていきます。
さらに、日射量も増えて海面を暖めることになります。
基本的には、エルニーニョ現象から約3ヶ月遅れでインド洋の海水温が高くなり、エルニーニョが終了しても約3ヶ月続きます。
逆にラニーニャ現象が起こると、インド洋の赤道付近では西風が収まり日射量も減少。
こちらも同じく約3ヶ月遅れで低くなり、ラニーニャ現象が収まってからも約3ヶ月継続されます。
これを「ダイポールモード現象」といいますが、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象と関係なく起こることもあるとされています。
ダイポールモード現象は、日本にも影響を与え1994年、2001年、2006年、2007年、2008年、2010年、2012年などの夏には異常な猛暑をもたらしています。
エルニーニョ/ラニーニャ現象が交互に発生した過去一覧
エルニーニョ現象とラニーニャ現象は、基本的に交互に訪れてきた過去があります。
1949年夏~1950年夏 | ラニーニャ |
1951年春~1951/1952年冬 | エルニーニョ |
1953年春~1953/1954年冬 | |
1954年春~1955/1956年冬 | ラニーニャ |
1957年春~1958年春 | エルニーニョ |
1962年冬~1963年春 | ラニーニャ |
1963年夏~1963/1964年冬 | エルニーニョ |
1964年春~1964/1965年冬 | ラニーニャ |
1965年春~1965/1966年冬 | エルニーニョ |
1967年秋 – 1968年春 | ラニーニャ |
1968年秋~1969/1970年冬 | エルニーニョ |
1970年春~1971/1972年冬 | ラニーニャ |
1972年春~1973年春 | エルニーニョ |
1973年夏~1974年春 | ラニーニャ |
1975年春~1976年春 | |
1976年夏 – 1977年春 | エルニーニョ |
1977年夏 – 1978年秋 | ラニーニャ |
1978年冬 – 1979年夏 | エルニーニョ |
1979年秋~1981/1982年冬 | ラニーニャ |
1982年春~1983年夏 | エルニーニョ |
1983年秋~1984年春 | ラニーニャ |
1984年夏~1985年秋 | |
1986年秋~1987/1988年冬 | エルニーニョ |
1988年春~1989年春 | ラニーニャ |
1991年春~1992年夏 | エルニーニョ |
1993年夏~1993/1994年冬 | |
1994年夏~1996年冬 | ラニーニャ |
1997年春~1998年春 | エルニーニョ |
1998年夏~2000年春 | ラニーニャ |
2002年夏 – 2002/2003年冬 | エルニーニョ |
2005年秋~2006年春 | ラニーニャ |
2006年夏~2007年春 | エルニーニョ |
2007年夏~2008年春 | ラニーニャ |
2009年夏~秋 | エルニーニョ |
2009年冬~2010年春 | |
2010年夏~2011年秋 | ラニーニャ |
2012年夏~冬 | エルニーニョ |
2013年春~秋 | ラニーニャ |
2014年夏~冬 | |
2015年夏~2016年春 | エルニーニョ |
2016年夏~2017年春 | ラニーニャ |
2017年秋~2018年春 | |
2018年秋~2019年夏 | エルニーニョ |
気象庁による今後の予測は、ラニーニャが来そうだという流れになっています。
エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率 | |||
---|---|---|---|
年月 | エルニーニョ現象 | 平常 | ラニーニャ現象 |
2020年7月 | 0% | 60% | 40% |
2020年8月 | 0% | 60% | 40% |
2020年9月 | 0% | 60% | 40% |
2020年10月 | 0% | 60% | 40% |
2020年11月 | 0% | 60% | 40% |
出典:気象庁
まとめ
エルニーニョ現象は、太平洋の東側の海水温度が上昇し、西側が低くなる現象。
ラニーニャ現象は、反対に東側の海水温が低くなる現象で、2つの現象は交互に訪れる傾向があります。
地球温暖化との関連はまだ解明されていませんが、世界的に異常気象をもたらすとして研究が続けられている重要な現象となっています。
日本でも冷夏、暖冬にも関わることがあり、地球の反対側で起きているからといって見過ごすことはできないものとなっているのです。
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