出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
埼玉県は、海なし県であるため太平洋での巨大地震による影響は少ないエリアとなります。
しかし、2011年の東日本大震災では1名が亡くなり、104名が負傷するなどの被害を受けていますし、都心に近いため「首都直下地震」にも注意する必要があります。
日本の太平洋側には日本海溝、相模トラフ(首都直下地震)、南海トラフとあり、海なし県であっても決して油断できるものではありません。
埼玉県に関わってくる地震について、発生の可能性はどれくらいあるのかチェックしておきましょう。
地震の種類
出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html
地震には、大きく分けて「プレート間地震」「プレート境界地震」と呼ばれるものとプレート内で起こるもので「プレート内地震」に分けられます。
そしてさらに細かく分類されているんですよね。
収束型
・海溝型地震
・衝突型境界地震
発散型
すれ違い型
大陸プレート内地震(内陸地殻内地震・断層型地震)
・逆断層
・正断層
・横ずれ断層
海洋プレート内地震
・スラブ内地震
・アウターライズ地震
埼玉県に関わる海溝型地震(30年以内の発生確率)
出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
埼玉県で海がないため安全かというとそうではなく、相模湾~房総半島南東沖のプレートによる地震や陸地の活断層で地震が起こる可能性があります。
特に、相模トラフ(首都直下地震)や南海トラフなどは、近い将来に巨大地震を引き起こす可能性があるので注意しておかなければいけません。
相模トラフによる巨大地震は可能性が低いものの、マグニチュード6.7~7.3規模の首都直下地震は、今後30年以内に70%で起こると言われています。
さらに、マグニチュード8~9クラスの南海トラフ巨大地震は、70~80%とかなり高い確率で発生するとされています。
地震 | マグニチュード | 発生確率 (30年以内) |
||
---|---|---|---|---|
日本海溝沿い | 超巨大地震(東北地方太平洋沖型) | 9.0程度 | ほぼ0% | |
福島県沖 | 7.0~7.5程度 | 50%程度 | ||
茨城県沖 | 7.0~7.5程度 | 80%程度 | ||
青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄り | Mt8.6~9.0 | 30%程度 | ||
沈み込んだプレート内の地震 | 7.0~7.5程度 | 60~70% | ||
房総沖 | ー | ー | ||
相模トラフ | 相模トラフ沿いのM8クラスの地震 | 8クラス (7.9~8.6) |
ほぼ0~6% | |
プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震 (首都直下地震) |
7程度 (6.7~7.3) |
70%程度 | ||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8~9クラス | 70~80% |
※2020年1月1日算出
出典:地震本部 埼玉県の地震活動の特徴
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kanto/p11_saitama/
埼玉県の活断層地震(30年以内の発生確率)
出典:Craft MAP白地図に筆者が加工
埼玉県での活断層による大地震の発生確率はかなり低い予想となっています。
ただし、存在の分かっていない活断層もあると考えられているため、いつどこで起きるかは分かりません。
さらには、埼玉県内だけでなく、群馬・栃木・東京・千葉・茨城・山梨など隣接している県の活断層の影響も受けてしまいます。
海がないから津波の心配はないし・・・「埼玉は安心」「自分は大丈夫」なんて思わずに、日頃から防災への意識は高めておくようにしましょう。
地震 | マグニチュード | 発生確率 (30年以内) |
|
---|---|---|---|
①大久保断層 | 7.0程度以上 | 0.6% | |
②太田断層 | 6.9程度 | 不明 | |
③深谷断層帯・綾瀬川断層 (関東平野北西縁断層帯・元荒川断層帯) |
深谷断層帯 | 7.9程度 | ほぼ0~0.1% |
綾瀬川断層(鴻巣~伊奈区間) | 7.0程度 | ほぼ0% | |
綾瀬川断層(伊奈~川口区間) | 7.0程度 | 不明 | |
④越生断層 | 6.7程度 | 不明 | |
⑤立川断層帯 | 7.4程度 | ほぼ0.5~2% | |
⑥曽根丘陵断層帯 | 7.3程度 | 1% | |
⑦塩沢断層帯・ 平山-松田北断層帯・ 国府津-松田断層帯 (神縄・国府津-松田断層帯) |
塩沢断層帯 | 6.8程度以上 | 4%以下 |
平山-松田北断層帯 | 6.8程度 | 0.09~0.6% | |
国府津-松田断層帯 | 相模トラフで発生する海溝型地震と同時に活動すると推定 | ||
⑧伊勢原断層 | 7.0程度 | ほぼ0~0.003% | |
⑨三浦半島断層群 | 主部(衣笠・北武断層帯) | 6.7程度もしくはそれ以上 | ほぼ0~3% |
主部(武山断層帯) | 6.6程度もしくはそれ以上 | 6~11% | |
南部 | 6.1程度もしくはそれ以上 | 不明 | |
⑩鴨川低地断層帯 | 7.2程度以上 | 不明 |
※2020年1月1日算出
出典:地震本部 埼玉県の地震活動の特徴
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kanto/p11_saitama/
地震・断層の活動サイクル
日本海溝沿い
超巨大地震(東北地方太平洋沖型)
最後の地震活動:2011年(東北地方太平洋沖地震)
地震の間隔:550年~600年程度
福島県沖
地震の間隔:44.1年
茨城県沖
地震の間隔:17.6年
青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄り
地震の間隔:102.8年
沈み込んだプレート内の地震
地震の間隔:22年~29.4年
房総沖
地震の間隔:不明
相模トラフ
最後の地震活動:1923年9月1日(大正関東地震)
地震の間隔:180年~590年
南海トラフ
最後の地震活動
東海・東南海:1944年12月7日(昭和東南海地震)
南海:1946年12月21日(昭和南海地震)
地震の間隔:88.2年
①大久保断層
最後の地震活動:不明
地震の間隔:5,000年程度
②太田断層
最後の地震活動:不明
地震の間隔:約16,000年前以後、1108年以前
③深谷断層帯・綾瀬川断層(関東平野北西縁断層帯・元荒川断層帯)
深谷断層帯
最後の地震活動:約6,200年前以後、約5,800以前
地震の間隔:10,000年~25,000程度
綾瀬川断層(鴻巣~伊奈区間)
最後の地震活動:約15,000年前以後、約9,000年前以前
地震の間隔:45,000~71,000年程度
綾瀬川断層(伊奈~川口区間)
最後の地震活動:不明
地震の間隔:不明
④越生断層
最後の地震活動:不明
地震の間隔:不明
⑤立川断層帯
最後の地震活動:約20,000年前~13,000年前
地震の間隔:10,000年~15,000年程度
⑥曽根丘陵断層帯
最後の地震活動:約10,000年前以後
地震の間隔:概ね2,000年~3,000年
⑦塩沢断層帯・平山-松田北断層帯・国府津-松田断層帯(神縄・国府津-松田断層帯)
塩沢断層帯
最後の地震活動:不明
地震の間隔:800年程度以上
平山-松田北断層帯
最後の地震活動:2,700年前
地震の間隔:4,000~5,000年程度
国府津-松田断層帯
地震の間隔:相模トラフで発生する海溝型地震と同時に活動すると推定
⑧伊勢原断層
最後の地震活動:5世紀~18世紀初頭
地震の間隔:4,000年~6,000年程度
⑨三浦半島断層郡
主部(衣笠・北武断層帯)
最後の地震活動:6~7世紀
地震の間隔:1,900年~4,900年程度
主部(武山断層帯)
最後の地震活動:約2,300年前~1,900年前
地震の間隔:1,600年~1,900年程度
南部
最後の地震活動:約26,000年前~22,000年前
地震の間隔:不明
⑩鴨川低地断層帯
最後の地震活動:不明
地震の間隔:不明
埼玉県の過去の主な地震
陸域の地震
818年:弘仁地震 マグニチュード7.9
878年:相模・武蔵地震 マグニチュード7.4
1649年:武蔵・下野 マグニチュード7.0±1/4
1791年:川越・蕨 マグニチュード6.0~6.5
1855年:安政江戸地震 マグニチュード7.0~7.1
1859年:岩槻 マグニチュード6.0
1894年:明治東京地震 マグニチュード7.0
1931年:西埼玉地震 マグニチュード6.9
1949年:武蔵・下野 マグニチュード7.0
2004年:新潟県中越地震 マグニチュード6.8
2005年:茨城県南部 マグニチュード5.4
2005年:千葉県北西部 マグニチュード6.0
1931年の西埼玉地震は、関東平野北西縁断層帯で起きたとされていますが、この断層で周期的に発生する最大規模のものではないと考えられています。
そのため、再び中規模の地震が起きる可能性は否定できません。
1949年の武蔵・下野で起きたマグニチュード7.0の地震は立川断層帯で起きたとされていますが、詳しくは分かっていません。
このように、どの活断層で起きたのかはっきりしない中規模地震が起こることも考えられるので、決して油断しないようにしておきましょう。
太平洋・相模湾
1923年:大正関東地震 マグニチュード7.9~8.1
2005年:宮城県沖 マグニチュード7.2
2008年:茨城県沖 マグニチュード7.0
2011年:東北地方太平洋沖地震 マグニチュード9.0
相模湾~房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生した1923年の大正関東地震(関東大震災・マグニチュード7.9~8.1)では埼玉県内でも震度5~6を観測しています。
犠牲者・行方不明者は343名を記録し、県内で起きた地震でなくても大きな被害となる可能性があります。
メディアなどではほぼ触れられていませんが、2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では1名が亡くなり、104名が負傷するなどの被害を受けています。
「首都直下地震」が起った時にも確実に被害がもたらされると予想されるため、もしもの時のために備えをしっかりしておきましょう。
備えとは、防災グッズだけのことを示しているのではなく、避難場所の確認や災害時の適した行動、家族での話し合いなど様々です。
避難の仕方や命の守り方を「知らなかった」では済まされませんし、いざという時にとっさに行動できなければ助かる命も助からない可能性もあるのです。
まとめ
埼玉県には海がないため、太平洋や日本海で巨大地震が起きても沿岸の地域に比べて被害は少なくなります。
ただし、全く被害を受けないというものではないため、日本海溝沿いや相模トラフ、南海トラフについても普段から情報をチェックしておくようにしましょう。
また、陸地では過去にも少ないとはいえ大地震が発生していますし、まだ知られていない活断層による地震が起きるかもしれません。
埼玉県は安心だと油断せず、防災グッズ、備蓄、被災時の行動、避難場所の確認、家族での話し合いなど、しっかりと備えておくようにしましょう。
持ち出しリュックをまだ備えていない方は、早めに用意しておくことをおすすめします。
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