小学校の時の避難訓練でよく耳にした、防災の標語を覚えているでしょうか。
地域によって「おはし」「おかし」と多少の違いはありますが、基本的に防災の基本とされる心構えとなるものでしたよね。
長年この2つが基本でしたが、これからは「よいこ」で覚えましょう!という専門家がいるのです。
「よいこ」とはいったい何を表しているのでしょう?分かりますか?
防災標語「おはし」「おかし」
小学生の頃に、避難訓練で何度も教わった「おはし」や「おかし」という防災標語。
避難する際に注意しておくべき心構えの頭文字をとって付けられた言葉ですよね。
改めておさらいしておきましょう。
は・・・走らない
し・・・しゃべらない
か・・・かけない
し・・・しゃべらない
「走らない」と「かけない」の違いはあるものの、どちらも同じ意味合となっています。
この防災標語は、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災以降、消防庁のガイドラインに「おはし」が紹介されたことで広まったとされています。
そのため、それ以前に小学生だった世代にはなじみがないかもしれませんが、お子さんがいる方は逆に教えてもらったという人もいるのではないでしょうか。
最近は「おはしも」に変わっています
さらに、「も」が追加されてそれぞれ「おはしも」「おかしも」になっている学校が多くなっています。
「も」は「戻らない」を表しています。
一度避難できたとしても、様子を見に戻って被災したら意味がありません。
実際に、東日本大震災の際に家に貴重品に取りに戻り命を落としてしまったというケースがあるのです。
さらに、家族を迎えに行って亡くなってしまったというケースもあります。
1960年5月22日に発生したチリ地震の影響で三陸海岸にも到達した津波は、40~80分という長い間隔で押し寄せてきたため、途中で海沿いに行き呑み込まれたという事例もあるといいます。
津波によって魚が浮いていたために、採りに行って巻き込まれたという話があるんですよね。
津波は第一波、第二波と押し寄せ、場合によっては後から来る津波の方が大きいこともあるので戻るのは非常に危険です。
東日本大震災は、深夜に発生したためにパジャマで逃げた人も多く、子供の着替えを取りに行ってそのまま流されてしまった人もいたと言われています。
災害が起きた際には、1~2時間は避難場所で待機するようにし、決してすぐに戻らないうように気をつけましょう。
さらに、学校によっては「おはしもて」となっているところもあるようですよ。
「て」は「低学年優先」とのこと。
これからは「よいこ」を推奨
国際災害レスキューナースの辻直美さん曰く、これからは「よいこ」だと推奨しています。
そもそも、「おはし」「おかし」は、災害から命を守るための標語ではなく、避難訓練を安全に行うための標語なのではないかという疑問を投げかけているんですよね。
辻直美さんは、阪神淡路大震災と大阪北部地震と2つの地震を経験しているため、その言葉には説得力があります。
確かに実際に災害が起きれば、走らないなんてありえませんし、黙っているわけにもいきません。
そこで「よいこ」となるわけですが、頭文字それぞれの意味は次の意味となります。
・い・・・急いで逃げる
・こ・・・声をかける
周囲の状況しっかりと見て、SNSやテレビ・ラジオなどの正確な情報を確認。
危険な場所にいないで、速やかに安全なところに避難。
周りに声をかけながら危険を知らせ、逃げる方向を叫ぶなどして、地域で協力して避難を促す。
これはまさに「津波てんでんこ」の考え方なんですよね。
津波てんでんこは、地震が起きたら真っ先に逃げろ!というもの。
自分の命優先で逃げることと思われがちですが、本来は、声をかけて周囲の人も助けながらみんなで避難するという意味が込められています。
まとめ
小学生の頃の避難訓練で言い聞かされていた「おはし」や「おかし」の防災標語。
「おはしも」「おはしもて」と進化していますが、これらは避難訓練を安全に行うための標語なのではないかと指摘されると、そのようにしか受け取れなくなってしまうほど的を射ていますよね。
これからは「よいこ」、「よく見る・急いで逃げる・声をかける」を頭に入れていざという時に備えておくようにしておきたいですね。
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