【津波てんでんこ】4つある本当の意味とは?7割の人が知らず自分勝手だと批判的

【津波てんでんこ】4つある本当の意味とは?7割の人が知らず自分勝手だと批判的

あなたは「津波てんでんこ」という言葉をご存じでしょうか?

 

2011年3月11日に起きた東日本大震災で注目されたこともあり、聞いたことがあるという方も多いかもしれませんが、その意味まで理解している人はどれだけいるでしょうか。

 

簡単に言ってしまえば、津波てんでんことは、「津波が来たら、とにかく逃げろ!」という意味となります。

 

地震による津波は、どれくらいの被害をもたらすのか実際に来てみなければ分かりません。

 

そのため、誰かの間違った指示で「津波は来ないから安心だ」と油断してしまうのではなく、自分の命は自分で守れという意味も込められているのです。

 



津波てんでんこの4つの意味とは?

津波てんでんこ」は、もともと1990年に岩手県の現・宮古市で行われた「第1回 全国沿岸市町村津波サミット」で、津波災害史研究家・山下文男氏などによるパネルディスカッションにから誕生した言葉となります。

 

しかし、三陸地方などでは昔から同じ意味の言葉は存在し、「津波が起きたら命てんでんこ」と言われてきたとされています。

 

ちなみに、「てんでんこ=各自」という意味で、各々で命を守るために逃げましょうということを指しています。

 

津波てんでんこは、防災教訓としても取り上げられることが多く、4つの意味合いが含まれていると言われています。

 

その4つの意味というのが以下となりますので、それぞれ詳しく見ていきます。

①自助原則の強調
②他者避難の促進
③相互信頼の事前醸成
④生存者の自責感の低減

自助原則の強調

 

自助原則とは、自分の命は自分で守るという意味になります。

 

他の人を助けることだけに力を注いでしまい、自分が助からなくなってしまうというケースも実際に起きています。

 

もちろん、他の人の命救うのは大切ですが、まずは助かるために個々でバラバラに素早く逃げようということになります。

 

そのため、非情ともとられ、他人のことを考えていないと批判されがちなものでもあります。

 

他者避難の促進

逃げなくても大丈夫だと思っている人や気づいてない人たちへ、逃げるべきだと認識させ避難を促すという意味を含んでいます。

 

自分の命を優先して逃げることで、他の人の目にも触れることになります。

 

それに気づいた人が、つられて逃げるという構図になるわけなのです。

 

つまり、自分がしっかりと逃げることが、他の人の命を救うことにつながるのです。

 

相互信頼の事前醸成

地震や津波が発生してない日常から、大切な人と信頼関係を築いておくという意味です。

 

いつ発生するか分からないからこそ、いざという時にはそれぞれバラバラになってでも逃げようと、話し合っておくことが重要になるのです。

 

大切な人もどこかで必ず逃げていると把握していれば、心に少しで余裕が持てることになるでしょう。

 

生存者の自責感の低減

自分が逃げ切ったとして、もしも大切な人が犠牲になった場合には、生存者は自責の念に駆られてしまいます。

 

生き残ったのが悪いかのような考えになってしまう自責の念を減らすという意味が込められています。

 

もちろん、大切な人が亡くなってしまったら辛い思いがあるのは当然です。

 

しかし、事前に「津波が起きたらてんでんこ」で逃げようと話し合っておくことで、約束として決めていたのだから仕方がないと、自分を苦しめる思いを薄めることにつながるのです。

津波てんでんこは7割の人が知らない!賛同しない!

2014年に、767人が回答したインターネットのアンケートでは、約7割の人が「津波てんでんこ」というこ言葉を聞いたことがないと答えています。

 

2011年の東日本大震災のあと、全国的に防災の意識が高まり「津波てんでんこ」も話題になっていましたが、実際にはそうでもないということが分かっています。

 

もちろん、アンケートの対象者が少ないためはっきりとは言えませんが、大地震を実際に経験していない人にとっては、どこか他人事という意識があるのかもしれません。

 

また、聞いたことがないという人たちに、津波てんでんこを説明し賛同するかを尋ねると、そのうちの7割が賛同しないと答えたといいます。

 

自分勝手な考えだという間違った意味で捉える人が多く、そういった誤解が広まったことで理解されにくくなっている実情があるのです。

 

実際に被害にあった人たちの中にも、本来の意味を理解していないという人は多かったとのこと。

 

自分の命はもちろんのこと、周りに知らせながら逃げることで周りも助け、普段から話し合っておけばそれぞれの人が避難する意識を高めるということを認識してもらいたいものです。



津波てんでんこの事例

2011年以降、メディアに取り上げられることが多くなった津波てんでんこ。

 

そのきっかけとなった事例が、「釜石の奇跡」と呼ばれる行動でした。

 

津波てんでんこを標語にして防災訓練を実施していた釜石市の小学校で、登校していた生徒のほぼ全員が助かったのです。

 

先生たちの指示よりも早く、生徒たちが津波が来ることを周囲に知らせながら避難

 

高齢者や保育園児なども助けながら無事に逃げ切りました

 

普段の訓練が活かされた実例であり、釜石市では「釜石の奇跡」ではなく「釜石の出来事」としています。

 

しかし、釜石でも多くの人が亡くなり、「釜石の悲劇」が起きていたことも忘れてはいけません。

 

まとめ

「津波てんでんこ」には、津波が来たら命を守るために、各々素早く逃げましょう!という意味が込められています。

 

周りを見捨てて自分だけ助かろうという意味として誤解されがちですが、周囲に知らせながら多くの人が助かるために避難を促し、普段からも話し合っておこうという意味も含まれています。

 

「釜石の奇跡」の小学生たちの行動を聞いた後でも、「津波てんでんこ」を否定するのかどうなのか・・・普段から意識しておくことの大切さを教えられますよね。

 

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