近年はインフルエンサーという肩書きの人が増え、1つの職業として確立されています。
芸能人や世間に影響力のある人が、SNSを活用して商品やサービスを宣伝することでマーケティングとし成り立つしくみとなっています。
時々、ステルスマーケティングとして話題となってしまうものもありますが、良くも悪くも影響力がものをいう世界であることは間違いないでしょう。
有名だから活躍できているのはその通りなのですが、そこには心理的な要素も隠れているんですよね。
ウィンザー効果|インフルエンサーが活躍できるのはなぜ?
インフルエンサーが活躍してお金を稼ぐことができる第一の理由は、もちろん影響力がありSNSに集客力があるからでしょう。
しかし、それだけではなく「ウィンザー効果」という心理が関係しているんですよね。
ウィンザー効果とは、本人より第三者からの情報の方が信用できると感じる心理のことになります。
商品を販売するメーカーやお店の情報よりも、使用した経験のある人の意見の方が説得力があるように感じますよね。
これを利用しているのがインフルエンサーであり、口コミでありアフィリエイトといったジャンルに当たります。
相手に信用してもらいたい情報を伝えるのであれば、あえて第三者にお願いすることの方が有利に働くという考えなのです。
これは、浮気の疑惑などでも同じなのですが、本人がいくら浮気はしていないと言っても信用されにくいもの。
しかし、相手のことを詳しく知っている人物が「あいつは絶対に浮気していないよ」と言えば、本人よりは信用できるはずです。
とはいえ、ウィンザー効果を悪用して、良い口コミを書かせる業者や、逆に競合相手のものには悪い口コミを書かせる業者も出てきているので、どれが本当の意見なのか見分ける力が問われてきています。
ウィンザー効果の由来
ウィンザー効果の「ウィンザー」とは、アーリーン・ロマノネスが書いた「伯爵夫人はスパイ」というノンフィクションが由来となっています。
著者自らの体験を書いたもので、劇中に登場するウィンザー公爵夫人が語ったことが元になっています。
「第三者の褒め言葉は、どんなときでも一番きき目があるのよ。誰かに感心してもらいたいときはこの方法を使うといいわ」
これは、本人の言葉にはどこか嘘が混じっているのではないかと警戒をしてしまうもの。
第三者の意見となれば、警戒心は薄れそれが正しいと無意識に判断してしまうのです。
ミルグラムの法則|専門家の意見は正しいと感じてしまう
インフルエンサーが偉い人物やある分野の専門家であれば、さらに意見が正しいと感じてしまいませんか?
もしも、専門家が嘘を付いたとしても信じてしまう可能性が高いのではないでしょうか。
これは、多くの人が身近なところで体験していると思いますよ。
会社で、同僚が言っている意見は信用できなくても、同じことを上司が言っていれば信じるでしょう。
学校で、同級生が話す内容が嘘っぽくても、教授が言えば信用しますよね。
このように、偉い人や肩書きのある専門家などに言われると信じてしまう心理のことを「ミルグラムの法則」または「権威への服従原理」と呼びます。
権威のある人のことを疑うと自分にリスクがあるかもしれないという心理が働き、服従してしまうのです。
飲酒や喫煙に関しても、身近な人に言われてもなかなか決心がつきませんが、医者に言われればすんなりと従う人が多いというのもこういったことが影響していると思われます。
占いが当たっているように感じるのにも似たような理由があり、権威のある人であればより信じられやすくなるのです。
ミルグラムの法則とは?
ミルグラムの法則とは、アメリカの心理学者・ミルグラムが由来となっています。
ミルグラムが行った「アイヒマン実験」、それがきかっけで名前が付けられています。
アイヒマンとは、第二次世界大戦の時のドイツ軍の高官の名前です。
ユダヤ人に対して行った人道に反した数々の行為は、自分の意思でやったのか上から命令されて従っただけだったのか。
これを検証した実験というのがアイヒマン実験なのです。
教師役と生徒役の被験者を用意し、次の工程で実験を行います。
②間違えると電流を流し罰を与える
③実は電流は流れず、生徒はしびれる演技、教師はそれを知らない
④教師は苦しむ生徒を見て実験をやめたいと思う
⑤実験を続けるように上から命令される
⑥結果、実験を続けてしまう
相手のことを思って途中でやめようと思っても、偉い人から命令されれば従ってしまうということが分かります。
戦争時は命令を無視すれば自分も危険にさらされるという環境なので、一概に現代と関連づけられないかもしれませんが・・・。
つまり、権威がある専門家で、人気もトップの芸能人並みの人がインフルエンサーになれば最強ということになるのでしょうね。
スリーパー効果|信用のない情報を信じてしまう
また、信用のない人から発進された情報は気にも留めないものですが、いつの間にか信用してしまうという心理もあるので紹介しておきます。
例えば、いつもふざけたことばかり言う友人がうさんくさい話をしても信じがたいですよね。
しかし、同じことを会社の上司が言っていたら本当なのかもしれないと思ってしまうことでしょう。
災害などのデマも、時間が経つに連れて信用度が増してしまうこともあるので注意しなければいけないのです。
これは、情報源と内容の2つの要素における信頼度によって判断していたものが、時間の経過と共に情報源の信頼度の記憶が薄れてしまっているから起こる現象で「スリーパー効果」といいます。
つまり、情報源の信頼ではなく、内容だけで判断するようになってしまうのです。
いつの間にか情報源の信頼なんてことを眠ったかのように忘れてしまうことになるので、「仮眠効果」「居眠り効果」とも言われています。
まとめ
インフルエンサーが活躍できる理由は、ただ人気があるというだけでなく、企業が「ウィンザー効果」をうまく利用しているということもあるでしょう。
本人よりも第三者の意見の方を信用しているかも・・・と気づいた時はもう一度冷静に判断してみてはいかがでしょうか。
また、偉い人の意見が全て正しいとは限らないので、何が正しくて何が正しくないのかを見極める目を養っていくことが、これからの時代は大切になってくるでしょう。