「東京ドーム○個分」という表現は、広さを表す際に使われますが、なぜそんな表現をするのか気になりませんか?
また、他にも似たような表現をするものは日常でも見られ、私たちは錯覚によってまんまと騙されているんです。
商品を買う際に、冷静になって考えてみるとその正体が顔を出してくるので、気にしてみてはいかがだろうか。
「東京ドーム何個分」分かりにくいのに面積の説明に使うのはなぜ?
「東京ドーム何個分」という表現は、面積の広さの例えとして使われています。
これは、広いというイメージをより持たせ、受け取り方に変化をもたらせる効果があります。
東京ドームは約4.7ha(ヘクタール)の広さなので、「東京ドーム15個分」であれば約70ha、「東京ドーム30個分」であれば約140haと同じくらいということになります。
広さを数字で表されてもあまり想像がつきにくいですが、東京ドームで例えればなんとなくイメージが付きやすく「広いなあ」と感じられるということですね。
また、「2000mgのビタミンC」が入っているものを「レモン100個分のビタミンC」と表現するのも同様で、レモン何○個分で表現した方が多く含まれていると感じることになります。
実際はほぼ同じ量ですが、身近なものに言い換えることで錯覚させることができるのです。
これは、東京ドーム=広い、レモン=ビタミンCが多い、というイメージがあるからであり、東京ドームやレモンを知らない人には通用しません。
しかし、ほとんどの人は想像できるので使われてしまっているのです。
他によく目にするものとしては次のものがあります。
・ゾウが踏んでも壊れない
・シジミ何個分のオルニチン配合
などなど。
「鉄」と「綿」だと同じ重さでも印象が変わる
東京ドームやレモンなど身近なものを対象として表現することで「スゴイ」「お得」「多い」などと思わせることを「シャルパンティエ効果」といいます。
例えば、「鉄5kg」と「綿5kg」を用意して、どちらが重いイメージを持ちやすいか。
これは、多くの人が鉄の方が重いとイメージするのではないでしょうか。
しかし、実際の重さは「5kg」なので一緒ですよね。
小さい子供に同じ質問をすれば、鉄の方が重いと答える子も多いはずです。
鉄=重い、綿=軽い、というイメージによって判断する心理、それこそがシャルパンティエ効果なのです。
フランス人の医師シャルパンティエが最初に実験を行い、ドイツの精神分析者コゼレフが検証を行ったことから「シャルパンティエ=コゼレフの錯覚」とも呼ばれています。
シャルパンティエは、同じ重さの異なる大きさのボールを用いて実験を行っています。
結果は、小さいボールの方が重いと感じる人が多かったといいます。
通常は、「小さい=軽い」というイメージを持ちますが、同じくらいの重さに感じ時、小さい方が重いだろうと判断してしまうのです。
ちなみに、同じ大きさで・重さでも「白」「黒」のボールでは黒の方が重く感じるなど、色によっても印象は変わってきます。
フレーミング効果|価格を錯覚させる手法
マーケティングとしてもシャンパルティ効果に似ている「フレーミング効果」という手法も利用されています。
消費者は錯覚によって買わされていることもたくさんあるんですよね。
よく「定価の60%オフ」というセールを見かけますよね。
これだけでも十分お買い得ですが、「定価の50%オフ、さらにレジで20%オフ」という値札があったらどうでしょうか?
後者の方が、2段階の割引となるので、よりお買い得な印象を持ちませんか?
しかし、実際にはどちらも同じ割引のパーセンテージなんですよ。
他にも、「9割の成功率」と「10回に1回は失敗」では同じことなのにまったく印象が変わってきます。
このように、数字の見せ方や表現の仕方によって錯覚させたり印象を変えたりすることが「フレーミング効果」なのです。
他によく見るものでは、栄養ドリンクの「タウリン3000mg配合」という表記でしょう。
これを「タウリン3g配合」と書いてもたいしたことない印象ですが、「3000mg」と書いて多く入っている印象を与えているのです。
まとめ
「東京ドーム何個分」という表現は、実際の広さを数値で表しても想像つきにくいために使われている手法です。
表現を変えることで、印象まで変えるてしまう効果のことを「シャルパンティエ効果」といい、数字のマジックによって印象を変えることを「フレーミング効果」といいます。
とはいえ、表現の仕方によってはそもそも想像がつかないし分かりにくいという欠点もあるのですが・・・。