街中を歩いていて、すれ違った人から好きだった人と同じ匂いがしてきたなんてことはありませんか?
振り返ってもいるはずないのに、どこか懐かしく思うものですよね。
それは、匂いによって記憶が蘇るからなんですよ。
では、なぜ匂いによって思い出まで呼び起こされるのか、詳しく見ていきましょう。
香りをかぐと記憶が蘇るのはなぜ?付き合っていた人を匂いで思い出す
かつて付き合っていた人と同じ香水やシャンプーの匂いを嗅ぐと、当時のことが鮮明に蘇りますよね。
他にも実家や学校、友人や行きつけの居酒屋など、人によって蘇る思い出は様々でしょう。
このように、匂いによってある特定の記憶が蘇ることを「プルースト現象」や「プルースト効果」といいます。
原因は解明されてませんが、仮説として考えられるポイントは、動物にとって匂いは情報として重要なものであるということ。
動物は敵から身を守る必要があり、視覚や聴覚にプラスして嗅覚も使うことでより安全になれますよね。
獲物を食べる時も、匂いを嗅ぐことで安全か危険かを判断することもできます。
嗅覚は、身の安全をより守れるとうことで、この重要な情報が記憶と関連付けられているのでは?というのです。
人は、匂いが記憶をつかさどる海馬や扁桃体に働きかけるため、喜怒哀楽と関連した出来事と結びつきやすいと言われています。
プルースト現象とは
フランスの小説家マルセル・プルーストが1913年~1927年に全7篇の「失われた時を求めて」という作品を書いています。
紅茶に混ざったマドレーヌを口にしたのをきっかけとして、味覚により幼少期の夏に過ごした田舎町の記憶が鮮やかに蘇ってくるというところから展開する物語。
これは味覚から思い起こされた記憶ですが、嗅覚から記憶を呼び起こさせる現象を、作家の名前から取って「プルースト現象」と付けられています。
プルースト現象で好きな人に印象を残す!?
プルースト現象を利用すれば、好きな人に対して印象を残すことができるのではないか。
とはいえ、どんな匂いでもいいというわけではないので注意したいところです。
そもそも、相手にとって不快な匂いであれば、それだけで悪い記憶として残ってしまいます。
いい匂いはいい思い出に、嫌な匂いは悪い思い出になりやすいといいます。
また、独特な匂いよりは、単純で分かりやすい匂いの方が良いとされています。
香水の匂いはその人の匂いをイメージするのに有効ですが、キツい香水はそもそも敬遠される可能性が高いので注意。
クサイ奴と思われるだけで終わってしまうかもしれませんよ。
できれば、シンプルで万人受けしそうなものが良いのではないでしょうか?
強すぎないフローラル系や、シトラス系などでしょうか。
また、特別な出来事の時にはいつもとは別の匂いにしてみると印象に残りやすいかもしれませんね。
企業もプルースト現象を利用している!?
企業は、人の五感をうまく利用した戦略を行っているされています。
匂いだけではないく、色やデザインなどの視覚的な効果や印象的な音も効果的に使っているんですよね。
もしかしたら、あなたもまんまと企業の思いのままに動かされているかもしれません。
マクドナルド
アメリカではランチの時間帯に、車の暖房とポテトを揚げる音の中間の音によるポテトCMをラジオで流していると言われています。うまく客を呼び込み、店では長居しにくいように赤い店内にしているのです。
ナイキ
店内でリラックスできる色の壁にして買い物をしやすくし、靴は一回履くと嫌な匂いを漂わせるのでインソールを一緒に買ってもらう作戦なのだとか。高価な靴には花の香りをミックスしているため、少しお金を出してでもいい靴を買ってしまう!?というのです。
m&mチョコレート
ロンドンのm&mは、お店に入るとチョコレートの匂いが充満しているので、客も無意識的に買いたくなってしまうといいます。実際は、チョコレートに匂いはなく、お店に匂いが吹き付けられているのだとか。
シンガポール航空
ステファン・フロリダ・ウォーターズという香りをおしぼりやCAにつけて、飛行機内をいい匂いにしているとのこと。リラックスやリピーターの増加にも効果があると言われています。
などなど、信じるか信じないかはあなた次第!
他の企業の戦略も紐解いてみると面白いことが分かるかもしれません。
まとめ
香りを嗅いだだけで、無意識に記憶が蘇る現象を「プルースト現象」呼ばれています。
匂いは視覚や聴覚よりも深い記憶を呼び覚ますことがあり、付き合っていた人や家族などとの思い出を鮮やかに思い出させせてくれるのです。
好きな人に自分の印象を残したい場合は、プルースト現象を利用するのも一つの手ですが、匂いは好き嫌いがあるので注意してくださいね。