長い期間ずっと自転車に乗っていなくても、練習せずに乗りこなすことができますよね。
気にも留めていない人が多いことかと思いますが、乗り方を忘れないのって不思議じゃないですか?
どうやら、記憶には忘れる記憶と忘れない記憶があるというのです。
何年経っても自転車に乗ることができるのはなぜ?
何年経っても自転車に乗ることができるのは、忘れない記憶があるからです。
一言で「記憶」と言っても、様々な種類の記憶というものがあんですよね。
大きく分けると
・長期記憶
に分かれます。
短期記憶
数秒~数時間の短い期間での記憶のこと。
電話や会話など、その時の瞬間的な記憶のことを「ワーキングメモリー(作業記憶)」といいます。
長期記憶
短期記憶よりも長い記憶のこと。
さらに、言葉にできる「陳述記憶」と言葉にできない「非陳述記憶」に分かれます。
・意味記憶・・・言葉の意味や知識、学習
・エピソード記憶・・・体験や思い出、見聞きした体験
・手続き記憶・・・車の運転、スポーツ、身体で覚えたこと
自転車に乗れる記憶は「手続き記憶」に分類されます。
学習などの「意味記憶」や思い出の「エピソード記憶」は、時間が経つに連れて曖昧な記憶になっていきますが、身体で覚えたことは忘れることがありません。
では、なぜ手続き記憶は忘れることがないのでしょうか?
手続き記憶はなぜ忘れない?
それは、記憶するしくみが異なるからなのです。
基本的な学習というものは、繰り返し問題を解くことで覚えてますよね。
大脳では、神経細胞を増やして情報を効率よく伝達するようになり、このことを「長期増強」と呼びます。
反対に、手続き記憶は小脳にインプットされ、バランスよく乗らないと転んでしまうということを全て記憶します。
しかし、うまく乗れるようになると失敗という情報が削除され成功の情報だけが残るのです。
アップデートしていく感じでしょうか、これを「長期抑制」といいます。
しかも、失敗が消えるだけではなく、長期間に渡って保存されるという優れものなのです。
例としては、次のようなものが挙げられます。
・楽器の演奏
・水泳
・車の運転
・自転車の運転
・スキーやスノーボード
・サッカーのリフティング
まとめ
数年ぶりに自転車に乗ってもうまく乗りこなすことができるのは「手続き記憶」という忘れない記憶が残るからです。
勉強や思い出などは記憶が曖昧になることもあり、全く思い出せないということもありますが、その理由は記憶する場所や方法が異なるからだったんですね。
永田町界隈では「記憶にございません」という数日前の記憶を消し去る魔法の言葉もあるようですよ・・・。