口に入れているわけでもないのに、梅干しを見たり想像したりしただけで口の中に唾液が広がってきますよね。
気のせいかちょっとした痛みのようなものも感じたりしますが、あれってなぜ起きるのか不思議に思ったことはありませんか?
その正体は条件反射によるものと言われていますが、そもそも条件反射って何なのでしょうか?
ここでは、梅干しによって唾液が出る原因についてお伝えしていきます。
梅干しを見ると唾液が出る理由はどうして?
梅干しを見ただけで唾液が出る現象をひもとくためのポイントは、無条件反射と条件反射です。
無条件反射は、いわゆる一般的に反射と呼ばれているものになりますね。
梅干しに関していえば、次の反応が無条件反射にあたります。
・条件反射:梅干しを見たり、想像したりすると唾液が分泌される
つまり、無条件反射は人間の体にもともと備わってる反応で、一方、条件反射は生きていく中で身につけた知識や経験のよって備わったものになります。
無条件反射と条件反射でそれぞれ、どんな反応があるのか見てみましょう。
無条件反射
無条件反射として上げられる例には以下のものがあります。
・転びそうになったら手をつく
・目の前にものが飛んできたら目を閉じる
・目に異物が入ったら涙が出る
・ひざの下を叩くとビクンと反応する(膝蓋腱反射)
・鼻の中をこよりでくすぐるとくしゃみが出る(くしゃみ反射)
などなど、人間が考えて判断されるのではなく、自動的に反応が起こるようになっています。
とっさに反応してくれないと怪我してしまうこともあるので、無条件反射がなければひどい目にあっている人は多いでしょうね。
転びそうなのに、脳で考えてから手をついていたら間に合いませんからね。
条件反射
条件反射は、経験や知識によって後天的に起きる反応のこと。
梅干しは口に入れると酸っぱくて唾液が出るという経験があることで、見ているだけでも唾液が出るようになっているのです。
そのため、梅干しを知らない人であれば、写真や実物を見たとしても唾液が出ることはありません。
条件反射を発見したことで有名な旧ソ連の生理学者イワン・パブロフ。
パブロフによる「パブロフの犬」の実験はまさに条件反射の代表的な事例です。
犬にベルの音を聞かせエサを与えると、犬はエサを食べる際にツバを出します。
これを繰り返すと、ベル=エサという条件付けができあがり、犬はベルの音を聞いただけで唾液を出すことになるのです。
こういったことが人間の身体でも起きているということになりますが、人間を含め動物は何と単純な生き物なんだと感じますよね。
似たような刺激でも反応は起きる!?
条件反射によって起こる反応は、条件付けされたものに似た刺激によっても引き起こされることがあります。
ベルの音で唾液が出るようになった犬であれば、似た音を聞かせても唾液を出すのです。
これを「刺激般化」と呼び、条件のもとでさらなる別の反応が起きることを「反応般化」と呼びます。
梅干しを見たら唾液が出る、それだけではなく腹が減ってグーとなるなど他の反応も起きる場合は反応般化にあたります。
病院に行くとドキドキするのも条件反射?
病院に行くと、血圧が上がってしまうという場合は条件反射が起きている可能性が高いです。
これは「白衣高血圧」と呼ばれるもので、病院に行くだけで緊張してしまうのです。
過去に、注射や検査などをしているため、自分の身体が受け入れたくないものだという先入観があるからなんですよね。
たいてい、注射を打つ医者や看護師は白衣を着ているので、白衣=緊張するということが成り立ってしまっているのです。
そのため、医療関係とは関係のない白衣姿の人を見ても血圧が上がることがあるといいます。
警察官やパトカーを見て緊張する人が、交通警備などの制服や、電力会社や交通パトロールなど赤色灯を付けている車を見て緊張するのも、条件反射と似たものになります。
まとめ
梅干しを見ているだけで唾液が出てくるのは、条件反射・無条件反射によるものです。
過去の経験による条件付けが反応をもたらすものなので、経験したことも見たこともないようなものに対しては起こりません。
つまり、梅干しを知らない外国の人であれば、見ているだけでは唾液は出ないということになるのです。