美術館に行って、展示されているものを見た後に気分が悪くなったことはありませんか?
または、教会や寺院などにある歴史的な絵画や彫刻などでも気持ち悪くなってしまうという人がいるといいます。
めまいや吐き気を感じる人もいるというのだから、穏やかな話ではありませんよね。
絵画を見て気分が悪くなってしまうのは、いったい何が原因なのかでしょうか。
美術館で絵画や彫刻を見ると気分が悪くなるのはなぜ?
歴史的な建造物にある絵画や彫刻を見ると気分が悪くなることを、「スタンダール症候群」といいます。
寺院やモスク、教会などに描かれているものはもちろんのこと、美術館に展示されている絵画などでも起きてしまう症状なんですよね。
フランス人の作家であるスタンダールが、イタリア・フィレンツェの教会(サンタ・クローチェ聖堂)でフレスコ画を見上げていた時に、めまいや動揺などの症状が出たことから名付けられたもの。
イタリアの心理学者・グラツィエラ・マゲリー二が、外国人の観光客にも同じ症状が見られたことを例に挙げて名付けたと言われています。
しかし、気になるスタンダール症候群の原因については、まだ解明されていないんです。
ヨーロッパの歴史的な建造物は、天井が高いものが多く絵画や彫刻を見るには上を見上げることになります。
長い時間見上げていることで、後頭部の動脈が圧迫され、血液が脳に行きにくくなることが考えられています。
推察されている原因として理にかなっているように思えますが、あまり納得できるものではありませんよね。
不思議なことに、イタリア人にはほとんど症状が現れず、西ヨーロッパからの観光客によく見られるのだとか。
さらには、アメリカ人や日本人もあまり影響がないというからますます不思議なんです。
宗教的なものが心理に影響する?
スタンダール症候群と似た現象に「エルサレム症候群」という症状があります。
イスラエルの聖地エルサレムを訪問した人に起きる症状で、精神的や身体的に影響を及ぼしてしまうのです。
エルサレムは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの宗教(アブラハム宗教)全ての聖地であり、エルサレム症候群はその全ての信者に見受けられます。
健康だったにもかかわらず、エルサレムを訪れると精神病を発症するケースが多いといいます。
しかし、エルサレムを離れれば回復するという不思議なことになっているんですよね。
エルサレム症候群は以下の3つの方に分けられています。
→自分が歴史的な宗教家だと信じ、キリスト再臨、ユダヤ教のメシア到来など、壮大な発想をすることに影響されていると考えられている
→エルサレムの持つ重要性に対して異常な執着を見せることで現れるパターン
→精神的に安定のある人が、精神病を患う
結局のところ、宗教的なことが原因なのではないかと言われていますが、こちらも解明されていません。
エルサレムへ旅行に行く際には、これらのことを頭に入れていくと良いかもしれません。
スタンダール症候群を描いた映画がある!?
スタンダール症候群は、英語ではスタンダール・シンドロームといいます。
同タイトルの映画「スタンダール・シンドローム」は、1996年公開のイタリア映画で、監督はダリオ・アルジェント。
アメリカの猟奇的事件の捜査のためにイタリアに入国した女性捜査官アンナが、ウフィツィ美術館で急なめまいに襲われます。
声を掛けてくれた男性がめちゃくちゃヤバイ奴だったことで、事件が起きていくのですが・・・。
しかもアンナは運悪く2回も襲われるっていうね。
スタンダール・シンドロームを引き起こすシーンは映画の中でも象徴的な表現になっているのですが、全体を通していえばガッツリサイコホラーな映画です。
プラッド・ピット主演の「セブン」を超える大ヒットとなったということでも有名で、ヒロインを演じたアーシア・アルジェントがかわいいと話題の作品でもあります。
ちなみに、ホラー映画を一緒に観ると、距離が縮まる効果が期待されますが、「スタンダール・シンドローム」は気まずいシーンが多いかもしれません・・・。
まとめ
歴史的な絵画などを見ていると気分が悪くなり、めまいを起こしてしまう症状を「スタンダール・シンドローム」といいます。
原因は解明されていませんが、イタリア人、日本人、アメリカ人などにはあまり症状が現れないというのも面白いところです。
厳かな雰囲気が、無意識に緊張をもたらしているってだけなのでは?と思いますが、そんな単純な話ではないんでしょうね。