マラソンなど、長距離を走っていると気分が高揚してくるランナーズ・ハイ。
辛いはずなのに、気持ちよくなるって何だか不思議ですよね。
ところで、そもそもランナーズ・ハイってどんなメカニズムなのでしょうかね?
また、その気持ちよさを味わうためにはどうしたらよいのか見ていきましょう。
ランナーズ・ハイの意味・メカニズム
「ランナーズ・ハイ」は、その名前の通り走っていると気分がハイになって快感が生じる状態のことを意味します。
ランナーズ・ハイになっている時、脳の中はβ-エンドルフィンという快感ホルモンで満たされるといいます。
β-エンドルフィンは、α波とモルヒネと同じような効果が得られると言われています。
しかし、β-エンドルフィンが運動中にどのように働いているのかは解明されていないんですよね。
また、2015年頃からは、β-エンドルフィン説に変わって内在性カンナビノイド説が唱えられています。
内在性カンナビノイドは、不安を和らげる効果や痛みを感じにくくする効果があり、ネズミを使った実験でアナンダミドという内在性カンナビノイドが作られることが確認されています。
熱いプレートにネズミを乗せてストレスを与える実験においては、アナンダミド受容体をブロックすると、熱さをすぐに感じて避けるのです。
今度はβ-エンドルフィン受容体をブロックしてみると、熱さを感じにくくなっていて反応なし。
つまり、β-エンドルフィンではなく、アナンダミドが感覚を麻痺させているということになるというのです。
しかし、まだはっきりとした結論は出ていないということなので参考までに。
ランナーズ・ハイを味わう方法!
ランナーズ・ハイを味わうためにはどうすればいいか気になりませんか?
走るのが嫌という人もいるでしょうが、名前自体に「ランナー」と入っているのだから走ることは前提になってしまうのであしからず。
走り始めの数分は、呼吸も乱れて苦しくなりますが、まずはここを経験しなければ始まりません。
この苦しい状態を「デッド・ポイント」や「デッド・ゾーン」と呼びます。
走ることに慣れてくると、呼吸も落ち着きなぜか楽になる段階がきます。
これを「セカンド・ウィンド」といい、呼吸が整ったことで酸素が身体に行き渡ってきた状態です。
あ、これがランナーズ・ハイなのね!と思っちゃう人もいますが、この先に来るのがランナーズ・ハイになるので、もう少し頑張ってみましょう。
必ず体験できるとは限りませんが、さらに走った先に来るのがランナーズ・ハイであり、別名を「サード・ウィンド」ともいいます。
ランナーズ・ハイを感じるためのコツとしては
・無理に走るのではなく、走りたいから走る
が挙げられます。
走ることが好きだから感じることができるのであって、楽しむことが大切なのです。
そりゃそうですよね・・・嫌々マラソンに参加している人は少ないですしね。
走るのが嫌いな方は、数10~100kmなどの歩くウォーキングイベントに参加してみても良いかもしれません。
本格的な登山や、自転車の長距離旅なんかも似たようなハイを感じることができるのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ゾーンに入るって何?
ランナーズ・ハイと同じようなもので「ゾーンに入る」なんて言葉も耳にしますよね。
スポーツ選手やアスリートが、試合などで集中した時に訪れる境地。
ゾーンは別名「フロー」といい、精神的に集中して完全にのめり込んでいる精神状態のことを意味します。
心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、ジェーン・ナカムラと2人で以下の6つの要素を挙げています。
2.自己認識感覚の低下
3.活動と意識の融合
4.状況や活動を自分で制御している感覚
5.時間感覚のゆがみ、時間絵の我々の主体的な経験の変更
6.活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない
野球の歴史における「打撃の神様」こと川上哲治さんは「ボールが止まって見えた」と有名な言葉を残しています。
これは試合での言葉と思われがちですが、多摩川のグラウンドで雇っていた投手との個人練習での発言。
それだけ練習にも集中してたということなのでしょうね・・・。
他にも、投げるボールが大きく見えてバットを振れば当たる、負ける気がしない、周りの音が聞こえなくなって無になった、など人によって様々。
サッカーの前園真聖さんも、かつてドリブルでゴールまでの道筋が見える時があったと語っていますしね。
ハンマー投げの室伏広治さんは「ゾーンの入り方」という著書も出しているので、気になる方はチェックしてみると良いかもしれませんよ。
まとめ
ランナーズ・ハイは、ポジティブな気持ちで1時間以上走ることで起きる可能性のある気持ちの良い状態のこと。
デッドゾーン→セカンド・ウィンド→サード・ウィンドの順でやってくるもので、サード・ウィンドがランナーズ・ハイ状態となります。
身体を動かすことが苦手な人には感じる機会はないかもしれませんが、運動は適度に行うように心がけたいものですね。