何か重いものを持つ時に、普段よりもパワーが出て持ち上げられたなんて経験はないでしょうか?
「火事場のバカ力」なんて言葉があるように、ピンチに陥ったら発揮する力って何で出るのか不思議ですよね。
しかし、何やら火事場のバカ力は、場合によっては命の危険もあるようなんですよね。
ここでは「火事場のバカ力」が出る理由や注意点についてお伝えしていきます。
「火事場のバカ力」は実際にある!
「火事場のバカ力」はその名前のとおり、火事や事故などの緊急時に普段以上のパワーを発揮してピンチを回避するというものです。
事故で体の上にのしかかった車や瓦礫などを持ち上げて脱出した、という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは、普段は制御している脳の最大パワーのリミッターを解除しているからなのです。
普段からその力が出せるようにしておけばいいじゃないかと思うかもしれませんが、それでは身体が持たないんですよね。
筋肉や骨がすぐに参ってしまい、生活が困難になってしまいます。
そのため、いざという時だけアドレナリンが分泌されて「火事場のバカ力」が発揮されるのです。
ドラゴンボールの孫悟空でさえ、界王券を10倍にすると身体がボロボロになっちゃっていましたし、地球人はそりゃダメですよね・・・。
一方で、キン肉マンは「火事場のクソ力」を発揮するといつも以上にパワーを出せていますが、これは他のキャラクターも使えない特別なものとして描かれています。
とはいえ、漫画やアニメの世界だけではなく現実の世界にも存在しているというのは、人の複雑な構造に改めて驚かされますよね。
いつも以上のパワーが出る理由はなぜ?
火事場のバカ力のように、いつも以上のパワーが出る理由はいったい何なのでしょうか?
ポイントは、重いものを持ち上げる際にフンっと息むことにあります。
呼吸を一瞬止めて力を入れることで、筋肉が緊張して力を発揮するのです。
腹筋や背筋だけでなく、直腸筋、声帯、唇、喉など、全身の筋肉に影響を及ぼします。
この効果を「バルサルバ効果」といい、イタリアの解剖学者アントニオ・マリア・バルサルバから付けられています。
バルサルバ効果による筋肉の緊張が頻繁に反射的に起きることをバルサルバ反射といい、このメカニズム自体はバルサルバ機構と呼ばれています。
「火事場のバカ力」は注意しないと命の危険もある!?
バルサルバ効果は呼吸を止めて力を入れるため、血圧や心拍数が一気に下がってから急激に上昇し、心臓や血管に負担がかかってしまいます。
人によっては、脳の血管が破裂してしまい命の危険もあると言われています。
そのため、心臓や血管などの循環器が悪い人は特に注意なんですよね。
また、バルサルバ効果は「バルサルバ法」や「バルサルバ手技」とも呼ばれ、治療にも利用されています。
簡単に言うと、息ばることで神経を刺激して動悸を沈める効果があります。
とはいえ、間違ったやり方でやってしまうとそれこそ取り返しの付かないことになりかねないので、必ず専門家に相談して看てもらってくださいね。
シャウティング効果|ハンマー投げで叫ぶのも同様の効果がある
ハンマー投げでは、投げた後にほとんどの選手は奇声をあげて叫んでいます。
このことによって、記録も伸びていく効果があるというのだから驚きですよね。
テニスでもボールを打つ際、海外の選手なんかは短く叫んでいます。
大声を出すことで、アドレナリンが分泌され一瞬だけ筋肉の抑制を解除しているのです。
そのため、大きな力や集中力を発揮できるといいます。
これを「シャウティング効果」といい、バルサルバ効果と似たような効果が得られるのです。
まとめ
火事場のバカ力は、バルサルバ効果による一時的なパワーが正体です。
頻脈を抑える際にも有効な方法とされていますが、正しい方法で行わなければかえって危険な状態になることもあるので注意。
本来は、火事場のバカ力を発揮する必要もないくらいに、平和な世の中が一番なんですけどね・・・。