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2020年1月24日(金)、アフリカ東部のエチオピアやソマリア、ケニアなどで大量のバッタが発生したと、国連食糧農業機関(FAO)が発表。
近年で最悪の蝗害(こうがい)となり、専門家たちは壊滅的な被害をもたらす可能性があると見ています。
このままだと、6月には500倍の数に増え、南スーダンやウガンダなどの近隣の国にまで広がってくことが予想されています。
なぜ、こんなにバッタが大量発生してしまったのでしょうか、原因や被害について見ていきましょう。
バッタ大量発生|東アフリカ過去25年で最悪!
エチオピアやソマリアでは過去25年で最悪のサバクトビバッタ大量発生。
ケニアでは、なんと過去70年で最悪の状況となっています。
日本でもバッタやイナゴは稲を食べますが、それほど大きな被害にはなりません。
しかし、これほど大量発生すると、農作物に甚大な被害をもたらすことになってしまいます。
そもそもアフリカ東部では深刻な食糧不足という問題を抱えています。
現状で、1,900万人が飢餓で苦しんでいると言われ、バッタの量が減らなければさらに危機状態に。
雨が降りやすくなる3月頃には種を植え、成長させて貴重な食糧とします。
バッタの発生を抑えることができなければ、深刻さは増していき飢餓で苦しむ人がさらに増える可能性が高くなってしまうのです。
バッタ大量発生の原因
今回のバッタの大量発生をもたらした原因は、「インド洋ダイポールモード現象(IOD)」と呼ばれるものとされています。
インド洋ダイポールモード現象とは、インド洋西部の海面温度が上昇して引き起こされる気候変動。
1月にオーストラリアでゴルフボール大の雹(ひょう)が降ったり、大きな砂嵐が発生したりしましたが、この原因もインド洋ダイポールモード現象にあるとされているのです。
東アフリカでは、2019年10月~12月に豪雨となり、土砂災害が起こるなど大きな被害をもたらしました。
普段は乾燥している地域に雨が降り続いたことで、草や植物などエサが豊富となりバッタが飛来。
バッタは繁殖力もあり、すぐに数が増えていきます。
毎日のように新しい群れがやってくるため、ケニアでは政府も規模を把握できないほど。
これ以上広がらないために、政府が500万ドル(5億4,500万円)投入するも、減っているのかどうかも分かっていません。
群れは1平方キロメートル~数百平方キロメートルと様々で、その中にそれぞれ8,000万匹いるというのです。
バッタ大量発生の被害
食料の生産地や牧草地では広い範囲にわたって被害を受けてしまっているとされていますが、把握はできていないといいます。
国連食糧農業機関(FAO)は、6月まで続くと予想し、バッタ制圧に7,000万ドルを投入するとしています。
バッタは、稲や農作物に限らず、紙や綿などの植物から作られているものまで食い尽くします。
大量発生するバッタは、群生相と呼ばれる変異体で身体が茶色く、自分の体重と同じ量の草を食べるというのです。
食べ物を生産できなくなれば、飢餓で苦しむ人が増えてしまいます。
日本では虫を駆歩するために、人には安全な農薬などを田畑にまくことができますが、アフリカでは金銭面でも難しく度々バッタの大量発生に悩まされしまっています。
2019年12月にはインドの北西部でもバッタが大量発生し、こちらも過去25年で最悪と言われるほどに。
5,000ヘクタール以上で作物の被害をもたらした地域もあったといいます。
まとめ
アフリカ東部の各国で発生しているサバクトビバッタの大量発生は、6月まで続く見込みで食物に大きな被害をもたらしています。
国連や各国の政府が駆除に乗り出し、多額な資金を投入することが決定。
日本とはあまり縁がない被害かと思いますが、原因となったインド洋ダイポールモード現象は、日本にも影響をもたらしているんですよ。
台風の数が増えたり暖冬になったりと、まさに2019年~2020年の秋冬はすでに影響を受けていると言えるのです。