2020年2月下旬に、東アフリカで大発生していたサバクトビバッタがイランからパキスタンに侵入!
東アフリカからインドという広範囲にわたって被害をもたらし、今度はイランからパキスタンの南西部に入ってきました。
パキスタン政府は緊急事態宣言を発令し、世界的な緊急援助を求めています。
ところで、気になるバッタ分布状況ですが、現状はどこまで広がっているのでしょうか?
サバクトビバッタがパキスタンに侵入!過去30年で最悪
.@FAOは、東アフリカ🌍での砂漠バッタ #DesertLocust の大発生に対処するため、1.38億ドルの緊急支援を国際社会に要請しています。
先日は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 @GatesFoundation からのご支援をいただきました👉https://t.co/twNguupXdI
最新の発生状況は 👉 https://t.co/mJKz0hKscE pic.twitter.com/mKVuuXDclE
— FAO Japan (@FAOJapan) February 26, 2020
2020年1月頃から、東アフリカに甚大な被害をもたらしているサバクトビバッタの大群は、2,000億匹とも4,000億匹とも言われています。
バッタは農作物を食い荒らし、今度はイランからパキスタンに侵入してきたというニュースが飛び込んできました。
パキスタンでの作物被害は過去30年で最悪とも言われ、シンド州ではお金を得るために栽培しているという綿が壊滅的になりそうだといいます。
シンド州にあるカラチという都市では半分ほど被害を受けてしまっているとのこと。
さらに、パンジャブ州では薬の散布などで駆除をスタートしましたが、薬による有害な煙霧のなか駆除されたバッタを集め、1キロ20パキスタンルピー(約13円)をもらう補償を行っています。
ただ、バッタ集めに時間を費やしている間に、別の農地で食い荒らされ手に負えない状態なのだとか。
薬がついた農作物は、毒性があるため結局は廃棄しなくてはならないようですね・・・。
サバクトビバッタ発生の原因
サバクトビバッタ大量発生の原因は、2018年の5月と10月にアラビア半島で発生したサイクロンで生息地の半砂漠地帯が潤ったことが最初のきっかけと言われています。
潤ったことでエサが増え、増殖と移動を繰り返しながら群れが大きくなり、2019年前半も各地で大量発生していました。
2019年にも10~12月に豪雨があり、さらにエサが豊富になり群れが拡大、パキスタンでは1年前にも飛来していんですよね。
2019年
1月:スーダン、エリトリアから紅海を渡る
2月:イエメン、サウジアラビア、イラン
3月:パキスタン南西部
6月:パキスタン中部、北部
2020年
1月:エチオピア、ソマリア、ケニアで大量発生
2月:南スーダン、ウガンダ、タンザニアに移動
エリトリア、サウジアラビア、イエメン、オマーン、イラク、イラン、パキスタン、アフガニスタン
6月にはバッタの数はさらに増え続け、500倍になると予想されています。
予測の分布状況は?
出典:FAO
国際連合食糧農業機関(FAO)では、サバクトビバッタの予測分布を発表しています。
6月にパキスタン、インドに到達となっているので、予測よりも早くパキスタンに渡ってしまったということなのでしょうかね。
さらに、東アフリカでは春から夏にかけても被害を受けている予測となっています。
予測からは、心配されている中国への侵入はなさそうですね。
現在の分布状況は?
2020年3月5日(木)現在の状況
ケニア
北部と中央の郡で広範囲で群れの繁殖が続き、数日で新しい群れが形成され始めている。これは、ソマリアから到着する新たな世代群れによって補完される可能性があり、マルサビットとトゥルカナではさらなる集中が予想される。空中と地上での管制が引き続き継続されている。
エチオピア
群れは、オロミヤおよびリフトバレーを含む地域の広範囲に渡って繁殖し続けている。ソマリアとケニアの隣接地域から国境を越えた動きが報告され続けた。
ソマリア
北西部では、ベルベラとブラオの間で新世代の成虫のグループが形成されている。北東部では、ガロウの近くに新世代の群れが形成、群れの中には、北東のケニアに向かって南に移動しているものもある。
南スーダン
ラボニとウガンダの近くで2月23日に見られる成熟した群れは多くの小さな群れに分散。
ウガンダ
2月24日以降、群れに関する新しい報告はない。
コンゴ民主共和国
ウガンダ国境近くの北東部では、新しい報告はない。
スーダン
散在する成虫は紅海の中央海岸で成熟。他の場所ではバッタは報告されていない。
エリトリア
繁殖は、未熟な成虫のグループが形成された紅海沿岸の中央部と北部で継続。マッサワ近くの海岸に成熟した群れが現れ、産卵。地上では2,712 ha(2月24〜26日)を処理した。
サウジアラビア
クンフィダ近くの紅海沿岸の地上管制作戦は2月26日に終了したが、ワディダワシルとペルシャ湾の間の内部の未熟なグループに対しては継続。地上チームは3,640 ha(2月19〜27日)を駆除。
イエメン
別の世代の繁殖は紅海沿岸で進行中であり、そこで形成され続けている。2月29日にサナアで未熟な群れを確認。アデン近くの南海岸で新しい繁殖が見られ、初期および後期のバッタが存在し、後者は未成熟な成虫グループを形成。制御を実行できていない。
オマーン
バッタの群れが形成された北と東の海岸で繁殖が継続。北海岸で群れが最近報告された。
イラク
伝えられるところによると、群れはバスラとナシリヤの間の南東を飛んでいた。
イラン
22の未熟な群れが南西海岸に沿って広がり、ファース、ホゼスタン、ブシェール、ホルモズガン州のブシェールとバンダーエレンヘの間にあり、4日以内に急速に卵を産んだ。南東部では地元での繁殖が続き、制御が進行中。
パキスタン
パンジャブ州のオカラ地区とカイバル・パクトゥンクワ州のラッキー・マーワット地区では、成熟した大人のグループと群れが交尾しているのが確認された。春の育種は、フーズダールとダルバンディンの間のバルチスタンの内部、および大人のグループが産卵し、幼齢期のバッタがすでに形成されているトゥルバト近くの南西海岸で進行中。地上チームは4,490ヘクタール(2月18〜29日)を駆除。新世代の未熟なグループと群れは、3月末までにバルチスタンで形成され始める可能性がある。
アフガニスタン
3つの群れが2月21日頃パキスタン北西部の隣接地域からホスト州に到着したと伝えられている。
まとめ
パキスタンに侵入してきたサバクトビバッタは、過去30年で最悪の農作物被害となっています。
予測では6月までバッタの被害は続き、東アフリカでは継続するとされています。
新型コロナウイルスのニュースが多いためにあまり報道されていませんが、バッタ被害はまだまだ収まる気配はありません。
イランなどで被害拡大となれば新型コロナウイルスとのダブルパンチとなるため、早急な終息が望まれます。