2015年12月12日に開催された、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」。
地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量の目標を各国が設定し、196ヶ国が参加(現在は187ヶ国)。
しかし、2017年6月にアメリカが離脱の意向を示し、2019年11月4日に正式離脱しました。
離脱した理由とは何だったのか、トランプ大統領の暴君ぶりについてもお伝えします。
地球温暖化・パリ協定からアメリカが離脱した理由
パリ協定からアメリカが離脱した理由は、トランプ曰く、「中国・ロシア・インドが何も貢献していないのにアメリカだけが何10億ドルも払うのは不公平だ」ということから。
また、「地球温暖化というものは、アメリカの製造業における競争力をなくすよう、中国が中国のために作り出されたものだ」と主張。
アメリカと市民を守るために、離脱するとも。
協定は他国に利益をもたらしアメリカの労働者に不利益となるとしている。
パリ協定が採択された2015年は、まだオバマ大統領だった時代でした。
しかし、2016年にトランプが大統領になると、2017年6月にパリ協定から離脱することを表明。
トランプは、もともと地球温暖化に対して懐疑的でした。
とはいえ、パリ協定の内容を修正してくれさえすれば、復帰もあり得るとしています。
ちなみに、アメリカの削減目標は以下のとおり。
・温室効果ガス排出量を26~28%削減(2005年と比較)
トランプ大統領の暴君ぶりがヤバイ!
パリ協定を離脱すると表明していた時期に、「大統領になったのはピッツバーグのお陰であり、パリではない」と話す暴君ぶりを発揮。
これはトランプの「ピッツバーグ発言」と呼ばれている有名なもの。
それに対し、ピッツバーグのビル・ペデュート市長は、「大統領選では、市民の80パーセントがヒラリー・クリントンに投票した」と発言しています。
パリ協定を離脱時の演説では、離脱するだけでなく途上国への温暖化対策支援もやめるとし、アメリカの富が持ち出されるとも話しています。
他の国がアメリカに残留を強いるのは、経済的に優位に立ちたいからだとも。
さすが、アメリカ第一主義のトランプ。
パリ協定は、2040年までに、アメリカのGDP(国内総生産)に3兆ドルの損失をもたらし、650万人の雇用を失うとのこと。
気候基金に対しては、お金はどこへ行くのか誰も答えられないとして、温暖化対策を悪用していると批判しています。
アメリカへの批判
自分勝手のようなトランプの行動に対し、国内外から批判の声が上がっています。
フランス・マクロン大統領
フランスのマクロン大統領は、離脱は大きな間違いとし批判。
トランプ政権のスローガンである、「アメリカを再び偉大にしよう」をもじって「惑星を再び偉大にしよう」と皮肉を込めて批判。
イタリア・ドイツとともに、アメリカとの交渉を拒否すると発表した。
麻生太郎副総理
日本でも麻生太郎副総理が、「その程度の国」と批判。
これは、第一次世界大戦後に、国際連盟の創設を提唱しながらも加盟しなかったアメリカのウッドロウ・ウィルソン大統領を引き合いに出しての発言でした。
アメリカ国内
パリ協定離脱の否定派
アメリカの離脱には、全大統領のオバマ氏も「地球の未来を拒否する一握りの国に加わった」と非難。
オバマ政権の国務長官ジョン・ケリーは「醜悪な責任の放棄」と批判。
ワシントン、ニューヨーク、カリフォルニアの3つの州は、「米国気候同盟」を結成。
その後、ハワイやマサチューセッツ州など7つの州が加盟し、パリ協定の目標を目指します。
また、アメリカの500以上の自治体、1,700もの企業がトランプの離脱を無視。
ディズニーの会長であるロバート・A・アイガーや起業家のイーロン・マスクは、大統領戦略政策フォーラムを脱退しています。
パリ協定離脱の肯定派
トランプと同じ共和党のミッチ・マコーネ上院院内総務は離脱を支持。
温暖化対策によって失われると予想された、石炭産業や労働者を取り戻すことを表明した、と評価しています。
また、環境保護局(EPA)の長官であるスコット・プレーイットは、アメリカとして謝罪する必要はない話している。
まとめ
よくも悪くも豪腕ぶりを発揮しているトランプ大統領は、パリ協定を離脱することで産業と労働者の雇用の衰退の危機を回避。
しかし、その理由は自分勝手なものであり、国内外から多くの批判を受けています。
トランプは次の大統領選にも出馬しているので、この問題はまだまだ続く可能性が高い。
どちらにしても、アメリカの大気汚染の進行によって異常気象が頻発するのだけは勘弁願いたい。