中国の大気汚染は深刻な問題として取り上げられることが多いですが、何も中国だけの問題ではありません。
大気汚染を深刻化させている原因の一つであるPM2.5は、日本での濃度も上昇させ健康への被害をもたらす可能性が高まっているのです。
とはいえ、どれほど危険なものなのか分かりにくいでしょうし、いつやってくるのかも曖昧なことかと思います。
PM2.5についての理解を深め、対策をするようにしておきたい。
大気汚染PM2.5の原因・大きさ・時期
PM2.5発生の原因
PMとは、粒子状物質を意味する「Particulate Matter」の頭文字を取ったもの。
PM2.5は、微小粒子物質と呼ばれるものの一つで、発生する原因にはいくつかあります。
工場から排出される煙や車の排気ガス、飛行機や船からも放出。
その中には、硫黄酸化物、窒素酸化物、揮発性有機化合物などが含まれ、大気汚染の原因になっているとともに人体にも影響を及ぼすと言われているのです。
一次生成粒子
微粒子として直接大気に放出されるパターンで、粒子は大きい場合が多い。数分から数時間で数10キロメートル移動することもあり、水溶性、吸湿性が低いものが多い。
・煤煙・・・石油や石炭の燃焼により発生
・粉塵・・・建物などの建設・破壊時に発生
・土壌粒子・・・風塵(ふうじん)・砂塵嵐(さじんあらし)により発生し、アジアでは黄砂が有名
・海塩粒子・・・海面から発生
・タイヤ摩耗粉塵・・・タイヤがすり減ることで発生
・植物性粒子・・・花粉など
・動物性粒子・・・カビの胞子など
・スパイクタイヤ粉塵・・・アスファルト面が削れることで発生
・宇宙塵・・・宇宙から降下
二次生成粒子
大気で生成されるもので、微小な粒子が多い。数日から数週間で数100~数1000キロメートル移動し、水溶性・吸湿性が高いものが多い。
・石油・石炭の燃焼
・木材の燃焼
・原材料の熱加工
・製鉄
・ディーゼルエンジンの排ガス
・石綿(アスベスト)
これらのガス状に排出された物質が、大気中でオゾンや光などと反応してPM2.5が発生する。
PM2.5の大きさ
PM2.5の大きさは、直径2.5マイクロメートルで、1ミリメートルの1000分の1というとても小さいものになります。
髪の毛の太さの30分の1くらいの大きさなので、わずかな隙間でも入り込んでしまう厄介さ。
粒子サイズが非常に小さいため、大気中を浮遊する時間も長く、中国からでも遠く離れた日本でも観測されるのです。
ちなみに、PM2.5より大きなPM10と呼ばれる微小粒子状物質もありますが、PM10のなかにPM2.5も含まれている。
日本では、PM10は環境基準に採用されず、浮遊粒子状物質(SPM)が採用されている。
浮遊粒子状物質(SPM)は、粒子の直径が10マイクロメートル以下のものと大きさに関する分類の仕方は一緒となります。
しかし、実際はPM6.5~7.0に相当され、PM10よりも小さいものを指す。
PM2.5が発生しやすい時期
では、日本でPM2.5が発生しやすい時期はいつ頃になるのでしょうか?
中国からPM2.5が飛来するのは、偏西風に乗ってくるからです。
春先に吹く偏西風は、3月~5月にかけて強まるため、濃度が上昇する傾向があります。
同時期には、同じく大陸の方から黄砂も飛来するため注意が必要となる。
また、地域によっても濃度は変わりますので、お住まいの地域が今どんな状況なのか小まめに確認することをお勧めします。
各都道府県の発生状況は環境省ホームページで確認することができます。
PM2.5を吸うとどうなる?健康への影響
PM2.5は、粒が小さすぎるため呼吸とともに体内に入り込みやすい。
肺の奥まで入り込み吸着し、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系や循環器系の疾患を引き起こす可能性が高まると言われています。
もともと疾患を患っている人や、子供、お年寄りなどは特に注意する必要があります。
また、2020年1月に発表された研究では、心肺停止のリスクが高まることが指摘されています。
しかも、日本で安心できる数値であってもそのリスクが変わらず高いというのです。
PM2.5の注意点・対策
出典:環境省ホームページ
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
自治体から、注意喚起が行われた際には外出しないのが一番の対策となります。
もちろん外出しなければならないこともあるでしょうが、その際はマスク着用は必須。
しかし、普通のマスクでは編み目の間から入り込んでしまうので、PM2.5用のマスクを用意しておきたい。
家の中では、空気清浄機を活用し室内を常にクリーンな状態にしておきましょう。
屋外では、大量に吸い込むことがないように過度な運動は控えるようにします。
屋内では、窓を開閉せず部屋の中に入れないことにつとめたい。
まとめ
PM2.5は、体内に入ると疾患に繋がる可能性が高く、無駄な外出は控えるようにしたい。
濃度が上昇する春先(3月~5月)は、黄砂・花粉とともに注意しましょう。
特に、呼吸器系や循環器系に疾患のある人はより慎重な行動が求められます。