地震が起きる前触れとして、イルカやクジラが海岸に打ち上げられているシーンが度々見られますよね。
2011年3月11日の東日本大震災が起こる前、3月4日に茨城県の鹿嶋市では54頭のカズハゴンドウイルカが打ち上げられ話題となったことも。
やはり地震とイルカ・クジラの座礁には何か関係があるのか気になるところでしょう。
そもそもの原因はいったい何なのでしょうか?
イルカ・クジラの打ち上げ座礁の原因は?
イルカやクジラが海岸に打ち上げられることを座礁鯨類といい、古くは「寄り鯨(よりくじら)」や「流れ鯨」とも呼ばれていました。
英語では「ホエール・ストランディング」といい、大量に打ち上げられることを「マスストランディング」と呼んでいます。
ストランディングの原因にはいくつかの説があり、クジラが外部から影響与えられる外的要因と、クジラ自身が原因となる内的要因に分けられます。
①軍のソナーによるストレス
②エサを追っていて浅瀬に迷い込む
③敵に襲われ逃げて浅瀬に迷い込む
④地震や台風などによる潮の変化
①自分が発した音が乱れ方向感覚を失う
②耳に異常をきたした
③磁場を探っているうちに浅瀬に迷い込む
外的要因
①軍のソナーによるストレス
軍が出すソナーの周波数を浴びることで、ストレスを受け発信元から逃げようとする。通常の潜水パターンと違った行動をとることで、体に窒素が溜まってしまい「減圧症」になってしまう。
1960年代頃から、周波数を5キロヘルツにしたところ、以降クジラが打ち上げられる頻度が多くなったという。1960~2004年では121件が観測され、そのうち40件が軍が活動していた場所に関係していたことが判明している。
②エサを追っていて浅瀬に迷い込む
エサを追いかけているうちに、自分の身体が動けないくらいの浅瀬に乗り上げてしまうことも。
③敵に襲われ逃げて浅瀬に迷い込む
エサのパターンと同じように、敵から逃げているうちに浅瀬に迷い込んでしまう。
④地震や台風などによる潮の変化
地震や台風などにより、潮流が乱れていつもと異なる環境となったことで混乱し、浅瀬に迷い込んでしまう場合がある。潜水艦や船による人工的な音や振動でも起こりうるとされている。これを利用してイルカを追い込む漁も実在している。
内的要因
①自分が発した音が乱れ方向感覚を失う
イルカやクジラが発する超音波が、岩や浅瀬によって乱反射を起こすことで、方向感覚が乱れてしまうことが考えられる。周囲の環境を把握するための音のことをエコロケーションといい、通常は広い海の中で過ごしているため乱反射は起こりにくい。
②耳に異常をきたした
耳の働きをする器官に異常をきたし、超音波をうまく探知できないことで混乱。耳石と呼ばれる平衡感覚をつかさどる器官も異常があれば磁場を探知できなくなり混乱をきたす。
③磁場を探っているうちに浅瀬に迷い込む
磁場の強弱をとらえて移動している間に、浅瀬にたどり着いてしまい乗り上げてしまう。
大震災の前にもクジラが打ち上げられた
2011年3月4日に、茨城県鹿嶋市の海岸にクジラが54頭も打ち上げられたニュースを覚えているでしょうか?
東日本大震災のわずか7日前に集団で座礁したことから、地震との関係にも注目されました。
茨城県鉾田市でも、2015年4月10日に150頭ほどのカズハゴンドウイルカが打ち上げられ発見されています。
大震災が起きるのではという心配もされ警戒していた人も多かったことでしょう。
また、1995年の阪神淡路大震災の2日前に神戸で87頭のイルカが打ち上げられています。
2011年2月11日に起きたニュージーランドのカンタベリー地震でも2日前に100頭以上のイルカが座礁しているのです。
他にも、深海にいるはずのリュウグウノツカイやサケガシラが漂着していることも。
これだけ事例があれば、地震予知までいかなくとも、注意するべきこととして覚えておいて損はないかもしれませんよね。
ちなみに、イルカとクジラの違いは大きさだけで、イルカが4~4.5m以下、6~9mをシャチ、それ以上がクジラとなっているんですよ。
イルカ・クジラの打ち上げ座礁は地震と関係ある?
では、本題となる地震との関係についてですが、結論は「関係は見い出せない」となっています。
え!?これだけ事例があるのに関係ないの?
そう思うかもしれませんが、東海大学海洋研究所の織原義明・野田洋一の両氏の研究報告で裏付けられているのです。
研究では、2001年1月1日~2011年3月11日までの地震(M6.0以上)と地震の30日前のストランディングの回数をまとめています。
他にも条件はあるものの、日本周辺で起きた地震の数は91回としています。
鹿島灘でのストランディングは51回で、地震が発生する30日前までに起きているのは25回。
つまり25/51で、49.0%という結果に。
鹿島灘に限らず全体で見ると91回の地震に対して、ストランディングが起きた地震は28回。
確率は28/91で30.8%となります。
その後、ストランディングを期間内でランダムに発生させるシミュレーションを行うと、鹿島灘で52.3%、日本全体では33.8%となっています。
いずれもシミュレーションよりも実際の方が低いことから、地震とストランディングに関係はないと結論付けているのです。
出典:2011年東北地方太平洋沖地震前に発生したマス・ストランディング-鹿島灘における鯨類のストランディングと日本周辺の地震との関係- 織原義明/野田 洋一
まとめ
地震が起こる前に海岸で発見されているイルカやクジラは、ただの偶然であり、地震との関係はないとされています。
実際に地震の前兆をとらえたことで打ち上げられた可能性もあるとは思いますが、専門家的には無関係のようですね。
地震予知は今のところできないと言われていますが、近い将来、何かしらの予知方法を発見してほしいものです。
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