冬に雪山で起こる雪崩は、どんな条件・場所で起きるのでしょうか?
もし、雪崩に遭遇したら、どんな行動をとり対処すればいいのでしょうか?
はたまた、発生する可能性が高い雪崩の前兆ってどんなもの?
もしもの時に備えて、雪崩についての理解を深めておきましょう。
雪崩の生存率
雪崩に巻き込まれてしまった場合、外傷、窒息、低体温によって命を亡くしてしまいます。
被災者の50~65%は助からず、雪に埋まらなかった場合でも生存率は80%となっています。
また、雪崩によって雪の中に埋められた際、15分がリミットとされています。
窒息による生存率は15分以内で92%、35分を過ぎれば30%にまで下がってしまうのです。
2時間経てば0%となり、ほぼ無理ということになります。
雪崩が発生しやすい条件・場所
雪崩が発生しやすい条件にはいくつかあります。
・風で雪が溜まっている場所で急斜面の場合
・氷点下が続いた時に吹雪や強い風が吹いた時
・春先・雨の後などの気温が上昇する時
・亀裂ができている場所
・雪崩が起きたことがある場所
斜面が30度以上になると危険とされ、35~45度はかなり危険。
大きな樹木が根付いていない斜面も発生する可能性が高い。
雪がない時に、草や低木などによって地面が覆われている場所も、雪が滑りやすくなっているので注意。
雪崩は、発生したらまず逃げ切れません。
発生しやすい場所を把握しておくことで、近づくことを避けることができるのでぜひ覚えておいてください。
雪崩の前兆の様子
雪崩は突然起きることもありますが、いくつかの前兆があることも分かっています。
もし、見かけたら最寄りの役所や警察に報告するようにしてください。
見て見ぬフリでは、それによって被害を受けてしまう人が出てしまうかもしれません。
大前提として、以下の前兆がある場所には絶対に近づかないように。
雪庇(せっぴ)
風が一方から吹くことで尾根にできる雪の張り出し
巻きだれ
雪崩予防柵に積もった雪の張り出し
斜面が平らになっている
斜面でもどんな地形か分からないくらいに雪が積もり、平らにもなっている
スノーボール
斜面を転がってくる雪のかたまり
クラック
雪が裂けていて、今にも崩れてきそうな割れ目
雪しわ
斜面の上から押し寄せている雪によって、雪にシワができる
雪崩が発生した時の行動・対策
雪崩は、雪全体が襲ってくる「全層雪崩」で40~80キロ、表面がはがれてくる「表層雪崩」で100~200キロというスピードにもなると言われています。
突然目の前で発生すればパニックに陥りやすいですが、どのような行動をとればいいのでしょうか。
近くで起きた場合と巻き込まれた場合に分けて紹介します。
・巻き込まれた人がいたら最後まで見続ける
・巻き込まれた場所、見失った場所を覚える
・雪崩が収まったら、巻き込まれた場所と見失った場所に印を置く(ただし2回目の雪崩が起こることもあるので注意)
・無線機やビーコンを使って探し出す
・見つけたら堀って救急処置をする
・雪崩を避けるように横に逃げる
・周りに声を出して知らせる
・荷物を捨てる
・泳ぐようにしてできるだけ浮上する
・埋もれた場合は、雪崩が止まる前に雪の中で窒息しないように口の前に空間を作る
・誰かが近くを通りかかった場合は、声を出して助けを呼ぶ
「荷物を捨てる」や「泳ぐように浮上する」というのは、小規模では有効となりますが、大規模の場合はそんな余裕はないと言われています。
口の前の空間も、意識がなくなることもあるので必ずできるものではありません。
雪崩は止まってしまうと固くなるので、コンクリート漬けのように身動きは取れなくなります。
もし、少しでも動けるのであれば空間を作っておきたいところですが、酸素の消費を抑えるために無駄な運動はしない方がいい。
大規模な雪崩に巻き込まれれば、ほぼ助かることはないため、対策は雪崩の発生が予測される場所には近づかないことしかありません。
大規模な雪崩から出る方法は、運良く掘り出されるか雪解けを待つしかないという、なかなか辛い二択となっているのです。
まとめ
雪崩が小規模であれば逃げることもできるかもしれませんが、大規模の場合はほぼ脱出は不可能になります。
生存確率は、15分を超えればかなり低くなるので、雪崩が起きそうな場所には行かないことが回避方法となるので覚えておきましょう。
»【防災グッズ】持ち出しリュックセットに最低限用意しておくべき中身一覧リスト
»【防災グッズ】家の備蓄セット(自宅避難用)に絶対に必要なもの一覧リスト
»【防災グッズ】普段持ち歩くバッグの中に必ず入れておきたいもの一覧リスト
»【防災グッズ】職場にも備えておきたいもの一覧リストを紹介!
»【防災】災害で生き残るには72時間が勝負!避難行動シーン別まとめ